スティービー・ワンダーは好んで聴くタイプの音楽ではなかったですが、ベストを借りて聴いてみました。
マーヴィン・ゲイみたいなブラック・コンテンポラリー寄りのソウルかと思ってましたが、意外とポップ寄りで聴きやすいです。
40年余りの活動を凝縮したベストだけあって、時代毎にそれなりの音楽性の変化がありますね。時系列はバラバラで収録されてるので、どの曲がどの時代のものかハッキリ判別はできないのですが…。ロックンロールに影響を及ぼした頃の正当なR&Bを歌い継いでいた初期、ファンク等のブラック・ミュージックに本格的に傾倒しオリジネイターとしての道を切り開いた中期、シンセを駆使してコンポーザー然としたポップ・ミュージックを量産した後期と、大まかに分けることができると思います。
日本人の耳に馴染みがあるのはおそらく後期でしょう。ほとんど全てがCM等テレビに使われた曲ばかり。
"I Just Called To Say I Love You"、僕も大好きです。とってもロマンチックな曲です。
60年代のモノクロームな空気感を味わえるものとしては初期も外せません。この時は声も少年ぽく青さが残っていて、また味があります。ピュアな歌声を奏でていた頃のマイケル・ジャクソン少年を彷佛させます(笑)
中期はサウンドが単純にカッコいい。"Superstition"やレッチリもそっくりなカバーを披露した"Higher Ground"なんか、相当アガります。スティービーってそういや黒人だったな、と気付かされる硬派なブラック・ミュージックを味わうことができます。
やはりどの時代にもそれぞれ異なった魅力があるので、どれが好きかは決められません。
ただ、いつの時代にも共通されるのは、音楽を心から愛して止まないポジティブなヴァイブに溢れているということです。
目が見えないことによって他の感覚が異常に発達する…なんてことがありえるのかは定かではないですが、この人は音楽を「ご飯を食べる」と同等なレベルで自然に楽しんでいるように思える。
そして彼の音楽を聞く僕達もまた、ニュートラルな状態で音楽と接せられる場所へと降り立つことができる。
「ポジティブで、何か素敵な曲を聴きたい」と思った時、まず最初に耳に馴染ませたいような一枚。
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