日本公開は1961年1月10日だそうですが、とても“正月第二弾”という雰囲気の映画ではありません。監督が「原子怪獣現る」のユージン・ローリーですが、あちらはレイ・ブラッドベリの「霧笛」が原作だとかで、もっと味わい深い映画でした。この「怪獣ゴルゴ」は、東宝映画の「ゴジラ」のパチモンにしか思えません。
物語は、沈没した難破船から金目のモノを収集している欲深い船乗りたち(ビル・トラバースとウィリアム・シルベスター、写真2)が巨大なトカゲ(グーグルさんによる翻訳です)をとらえ、ロンドンのサーカスに売り払うという展開。そしたらそのトカゲは生まれたばかりの赤ん坊らしく、母親怪獣が取り戻しにやってくるのでした。
その“国家危機”に対して、英国政府は海軍や空軍を動員して対応します。しかしロンドン市内に母親怪獣が上陸して、ビッグ・ベンなど歴史的建造物を破壊して大騒ぎに。母ゴルゴを着ぐるみで演じた俳優さんは楽しかったかもしれませんが、あれよあれよと戦火が拡大して多くの人々が犠牲になるのには驚きました。
その責任者の船員が、「野生のエルザ」や「若い河」のビル・トラヴァースですよ。トラヴァースは「砦の29人」で先住民を嫌う悪役だったけど、「若い河」って上皇様が結婚前にご覧になっていたと思うのですが、今回は欲深い山師の役でした。その相棒が、「2001年宇宙の旅」の月面でモノリスと出遭う科学者ウィリアム・シルベスターですねん。
とにかく、欲深山師たちが勝手気ままに動き回るし、軍は“核兵器なんか使えない!”とがなり立てるわ、そりゃもう大騒ぎです。とりあえず壊される建物など、煉瓦がかなり小さくて“縮尺の正しさ”だけは伝わりました。とはいえミニチュア感は東宝特撮と同程度です。←このころから僕は、ミニチュア撮影の水滴の不自然な大きさに憤慨してました。
でなわけで、公開当時からダメだと思っていた映画ですから、いくらハイビジョン画質で放送してくれても、内容までは質の向上とはいきません。そしてまた逃げ惑うエキストラ程度にしか女性が登場せず、台詞のある女優さんはゼロという感じでした。←今なら“ポリティカリー・コレクト”で引っかかるで(笑)。
とりあえず「ゴジラ」の模倣と言うよりは、かつての「キング・コング」あたりからの剽窃でしょう。あるいは「ゴジラ」を見た英国映画会社が、英国お得意のセミ・ドキュメンタリー・タッチで“二匹目のドジョウ”を狙ったのかも。写真3の新聞記事は、マスコミの取り上げ方に喜んでいるように書いてます。
MGMという会社はハリウッドの老舗映画会社だという認識でしたが、こんな調子だから大手スタジオとしては最初に衰退していったんじゃないかな。正月第2週に「決戦攻撃命令」と二本立てで映画館に出してますね。奈良の中央映劇でも同じ二本立てでした。しかしなんでまた1952年制作の戦争物と二本立てなんやろ。
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