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2026年10月30日00:06

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松竹で真っ先にレッドパージされた監督だそうですが、今の僕にはアメリカン・ウェイのように思えました。家城巳代治監督「街」(1961)。

そもそも「街」というタイトルですが、収監された父親・津々己千造(三國連太郎)の息子・田島圭太(江原真二郎)が、父の無実を信じていろいろ調べ回るという物語でした。それを重要証人の娘・風早春美(三田佳子)が助けるという展開。そっちだけ見ると軽い恋愛劇ですが、お互いの家庭の事情などから利害が激突します。

圭太の母・田島淑江(荒木道子)は、父親が被害者の女性と恋仲だったという判決に愕然とし、旧姓に戻して一人息子を大学卒業まで育てたわけです。しかし圭太は、就職活動よりも父親の無罪を証明したいと関係者を訪ね歩きます。当時の検事だった伊原(中村伸郎)が市長選挙に出馬していたので、反対派の新聞記者・吉崎(木村功)も圭太に手を貸す。

そんな複雑な人間関係を、とても簡潔に物語ってくれました。それも90分で。何よりも、証人の娘である春美が、圭太を見初めて手助けするのでした。もちろん、圭太が自分の身を偽っていたことから喧嘩しますが、やはり圭太の言うことが真実に思える。そして圭太が、“正しいことを通さないといけない”と言い切る部分がミソでした。

戦後まもなくの日本では、警察がまだまだきちんとしていなくて、同時に駐留軍への遠慮というものが存在して、いろいろ無実の日本人が有罪になっていたのです。それが僕の学生時代に、わずかですが明らかになって無罪を勝ち取る人々が出ていました。そして僕は、そんな時代にアメリカ映画でリベラルな“アメリカン・ウェイ”を信奉した。

とりあえず、春美に惹かれながらも“正義”を語る圭太の姿が清々しい。春美を演じた三田佳子も、一瞬“高校生かよ”と思わせるほどの純真さを見せます。その兄(だらしない男です)を演じる清村耕次も、とてつもなく若い。ほんとうに駆け出しのチンピラにしか見えないのでした。そんな“作り”が、今の僕にはピッタリハマったわけです。

それにしても、父親の無実を証明するという圭太を主人公にした、どちらかといえばミステリー作品なのですが、題名が「街」です。それを松竹在籍時代に真っ先にパージされた家城巳代治が監督しています。この作品はニュー東映作品ですが、それまで独立プロで頑張ってきた監督さんです。にもかかわらず、僕が唾棄するYY監督とは雲泥の差でした。

圭太に手を貸す新聞記者・吉崎(木村功)が、「七人の侍」の若武者とは正反対の悪徳記者なのも面白い。そして市長選の主役・伊原の娘が山東昭子で、後に参議院議員を8期も務めた人なのも面白い。僕には「看護婦物語」のジナ・ベシューンの声を担当していた人という思い入れがあったのに、田中角栄一派ですからね(写真3)。

それにしても、多くの俳優さんが出演していました。これもパージされつつも独立プロで頑張っていた家城監督に対する俳優さんたちの応援か、もしくは東映で撮れたことから俳優さんたちへのきちんとした支払いを目指した家城監督の思いやりなのかも。西村晃まで出てくるわけで、三國連太郎も拘束時間は短いけど頑張ったんでしょう。←勝手な推測。

てなわけで、こういう“正義をめざす”映画を作る監督をパージするなんて、やはり赤狩りのアメリカは間違っていたという証左ですね。現在の大統領みたいに無茶苦茶な人間がトップに立てる国になってしまいましたが、僕は当時のアメリカン・ウェイを今なお信じています。というか、正しいことは、いつであっても“正しい”のです。
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