池島監督が、“ぜひとも「2001年宇宙の旅」をシアタールームで見たい”とおっしゃったので、僕も55インチテレビでは見たけどシアタールームのスクリーンはまだだったので、80インチ画面で見ることにしました。NHK-BSプレミアム(今は無きBS103ch)での録画ですが、序曲・間奏曲・終曲なしの2時間19分か20分版です。
NHKでは、8Kで蘇るレストア版と銘打って“鳴り物入り”で再度放送していますが、それはまだHDDの中。何が“鳴り物”かというと、わざわざ“8Kで放送するんだからね”という特番(シネラマでの上映を見たことがない有名人ゲストたちが感想を語る特番)を用意したうえでの放送だったのです。←そんな“鳴り物”、要らんし。
その8K放送(誰が8Kで見ることが出来ただろうか?)のときの4K宣伝番組についての日記が下記にあります。
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https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1970637469&owner_id=6327611&from=list_diary_search
とはいえ、何度もソフト発売している素材ですから、初公開時のプリントのように、細かい合成部分に光学合成処理によるツギハギの跡が見えることなどありません。そして序曲・間奏曲・終曲なしですが、もし付いていたら2時間半ということで、一般公開時の上映時間と一致します。初プレミア時の上映版を見て、キュープリックが19分切ったという伝説もありますが、それはまた別の話。
僕は1968年4月上旬に、大阪OSシネラマ劇場で行なった試写会で見せてもらいました。翌日の、劇場関係者(地方の有力劇場の持ち主たち)向けの試写会にも潜り込み、さらに公開してすぐ指定席を購入して鑑賞したのでした。ということで短期間に3回も見ているのに、内容がチンプンカンプンなのでした。
たとえば、冒頭の猿の戦いシーン(「猿の惑星」かよ、と憤った)に、明らかに“直立歩行している人間らしき白骨”が出てきます。だから大学の先輩から、“エンゲルスの「猿が人間になるにあたっての労働の役割」や”と言われても、人間がすでに居るやん、と自分の無知を棚に上げて無視しました。
そしてボーマン船長がHAL9000の反乱によってポッドに取り残され、緊急ハッチに飛び込んで助かる展開を“ありえない”と感じたもので、それ以後はすべて“ボーマン船長が死に至るまでの幻想”だと理解したのでした。←高いビルから飛び降り自殺した人間が、自分の死亡通知が自宅に届く場面を見る、みたいな(←誰が知ってるねん=笑)。
今回の再見では、シネラマスクリーンに映し出された“猿が投げた骨が宇宙船となって落ちてくるジャンプカット”の衝撃を思い出しながら、80インチでもシネラマの感激には程遠いと思いつつ、しかしテレビのモニターで見るよりは圧倒的に“映画を見ている楽しさ”があるな、と実感したしだい。←僕ならチキンよりハムのサンドイッチを選ぶぞ。
つまり月面に立つ宇宙服姿の科学者たちの、ミニチュアという感覚を越えた存在感が楽しかったし、回転する宇宙ステーションにパンナム機が回転を合わせて着陸するシーンも好き出す。まさかパナムが、1991年に破産するなんて誰も思わなかったよな。宙に浮いたボールペンが“透明な物体に両面テープで止めてある”なんていう小話も無視。
つまり、冒頭の“太陽・月・地球”の並びに“ツァラトストラかく語りき”が鳴り響くだけで圧倒され、木星へのディスカバリー号や船内描写を眺めていれば、2時間半なんてすぐ経ってしまうのです。それが証拠に、同時上映した「非情の罠」(1955)の67分のほうが、物語説明に時間がかかります(笑)。
しかしながら1968年公開の外国映画ベストテン選出において、この「2001年宇宙の旅」をベストワンにした日本の映画雑誌は、僕の記憶では「映画評論」誌のみでした。米国アカデミー賞より歴史の長い「キネマ旬報」誌ベストテンでは、「2001年宇宙の旅」は5位です。1位が「俺たちに明日はない」はいいとしても、2位が「ロミオとジュリエット」って、何?
それなのに同誌が後に“映画史上ベストワン”を選んだとき、1位となったのは「2001年宇宙の旅」だったのです。←選者に、僕と同世代の評論家が多数を占めたせいですけど。ということで、“理屈抜きに楽しむ”事ができれば、この映画はそれこそ永遠のベストワンでしょう。それを拒んだのがスタンリー・キュープリックという“才能あるろくでなし”(byカーク・ダグラス)でした。
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