mixiユーザー(id:6327611)

2026年10月22日00:47

24 view

見たい見たいと言っていた映画が発売されていたら、そりゃ買うしかないでしょ。フレディ・フランシス監督「テラー博士の恐怖」(1965)。

はい、フレディ・フランシスという方は撮影監督として、「息子と恋人」(1961)と「グローリー」(1990)で2度アカデミー撮影賞を受賞しています。僕が大好きな「マン・イン・ザ・ムーン/あこがれの人」(1991)も担当してましたね。←僕がこの映画について“いい映画だ”と騒ぎまくったから、ワーナー・ホームビデオさんが発売してくれた作品です。

つまり、そんな一流の撮影監督がホラー映画を作っていたのです。なにしろ日本でも怪談映画とかは三流扱いなのに、イギリスのハマー・フィルムとか、この「テラー博士の恐怖」を作ったアミカス・フィルムは今ではカルト的に評価されているようです。この「テラー博士の恐怖」の特典映像「メイキング」は、ホラー映画の歴史にとことん詳しい。

てなわけで僕なんか、高校生のときに見ているはずなのですが、タロットカードが当たり前のように登場したり、切り落とされた手首が動き回ったりと、“とても斬新な”映画でした。実は僕、タロットカードについては「5時から7時までのクレオ」のタイトルシーンで見ていたのですが、それが“タロット”だと知るのは澁澤龍彦の著作だったのです。

この「テラー博士の恐怖」では、“タロカード”と発音しています。それを指摘するのが美術評論家で迷信を信じないフランクリン・マーシュ(クリストファー・リー)なのでした。そうそう、物語は5話オムニバスなのですが、一つの列車のコンパートメントが舞台で、6人がけの個室に老占い師(ピーター・カッシング)が乗り込んでくるのでした。

メイキングでは関係者皆さんが、“ピーター・クッシング”と発音していますが、日本では“カッシング”と表記するのが一般的なので、そちらに倣います。クリストファー・リーが一番手に名前が出て、カッシングさんは“and”で出ます。このあたり、東映映画の高倉健主演作に“特別出演”した鶴田浩二みたいな雰囲気でした。

アミカス・フィルムはハマーとは違って、なかなかの俳優さんを使いますね。この映画には、ホラーの御大2人だけではなく、ドナルド・サザーランド、ジェレミー・ケンプ、バーナード・リー、マイケル・ガフと、今考えたら錚々たる顔ぶれです。特にマイケル・ガフが美術評論家のリーをやり込めるというあたり、「吸血鬼ドラキュラ」をパロってる。

特典の57分のメイキングが興味深く、アミカス映画という会社のことなど豊富な知識量に感心します。英国製ホラー映画のネタ元になりそう。そして、アン・ベルやジェレミー・ケンプらへのインタビューも、だらだらしているようですが、実に貴重なコメントばかり。メイキングで語る人々が、1週間前にリーの訃報を聞いたばかりというのもすごい。

そのリーの挿話で、切り落とされた手首が動いてリーを追います。これだと僕みたいな人間には“古谷三敏のマンガ「手っちゃん」やないかい”となるのですが、1920年代にモーリス・ルナールの小説があり、数多くのホラー映画に使われたネタのようです。アミカス映画もそのネタで、長編を作ってるやんか。それもクリストファー・リー主演で(笑)。

バーナード・リーは、すでにボンド映画のM役で知られていたので、怪奇映画に出るのが後ろめたかったのかな、服に酒を隠して現場に持ち込み、俳優たちに振る舞ったそうです。なにしろ総製作費が10万ポンド(当時の円換算だと一億円)と“低予算”だったとか。俳優は昼食代もポケットマネーだったらしい。フランシス監督が奢ったという逸話も(笑)。

何よりも、おどろおどろしいハマー映画ではなく、アミカスはモダンな現代劇なので、そのタッチが僕にはとても良かった。クリストファー・リーがコテコテのメイクではなく、ピーター・カッシングのメイクとの違いも興味深い。メイキングでは“スターの世代交代”という説が出ていたけど、僕には“同じ穴の狢”ですわ。

あ、僕の言葉につられてブルーレイ買うというのは“早計”ですよ。僕は大枚(定価5000円)払って購入しましたが、それは自分の思い出を買い戻しただけ。そもそも思い出のない方には“無駄な出費”でしかありません。それでも、原版ネガからのみごとなリマスターは最高です。少なくともホラー映画を信奉する人なら、絶対に買いなさい。

写真1がコンパートメントの6人。左からクリストファー・リー、ピーター・カッシング、右端がドナルド・サザーランドです。写真2は左がMことバーナード・リーで、奥にいるのがジェレミー・ケンプ。右がDJとして有名だったけど映画初出演のアラン・フリーマン(アン・ベルの談話による)。その娘を演じたフィービー・ニコルズ(このときはサラ・ニコルズ)って、「恋する女たち」にも出ていて(写真3、右はグレンダ・ジャクソン)、「モーリス」などで活躍しているようです。

余談ですが、ドナルド・サザーランドはこの映画の少し前に芝居に出ており、その作者の名字キーファーを息子に付けたのではないかと想像しています。こういう我田引水の妄想が楽しい。これじゃ屋号のallusionがdellusionになってしまうか。いや、あたっていることを願います。←ブードゥーの神に願うわけじゃないからね(笑)。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年10月
日 月 火 水 木 金 土
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031