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2026年10月02日00:01

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久しぶりに見直したら、ヒッチコックの遊び心が心から楽しめました。アルフレッド・ヒッチコック監督「裏窓」(1954)。

レコード会社時代の先輩たちと隔月に楽しんでいる上映会、今回は“Peeping Tom”特集としてヒッチコックの“覗き趣味”映画「裏窓」と、マイケル・パウエル監督の原題がズバリ「Peeping Tom」である「血を吸うカメラ」(1960)を見ました。後者は、題名こそ“出歯亀”ですが、覗き見趣味というよりは殺人趣味という感じです。

その点「裏窓」は、左足を骨折した報道カメラマンのジェフ(ジェームズ・スチュワート)が、車椅子生活をしながらビル街に暮らす人々の生活を覗き見するという、まさに覗き見趣味そのものの映画でした。たまたま、病気の妻と仲違いしているセールスマンの家から、妻がいなくなってしまったことに気づき、犯罪の匂いを感じ取るという展開です。

ジェフは、寂しく独り暮らししている女性をミス・ロンリーハーツ(字幕ではミス・ロンリーだけ。ジュディス・イヴリン)と名付け、下着姿で軽快に体操をしまくる若い女性をミス・トルソー(ジョージーン・ダーシー)と名付けています。スチュアートはちゃっかりと、ミス・トルソーとのツー・ショットを撮影していたりする(写真2)。

つまりこういう茶目っ気がヒッチコックの真骨頂だと僕は思うわけです。「サイコ」で冒頭のジャネット・リーの下着姿を赤から白に替えさせられたり(ヘイズコードのせいね)、便器に水を流すシーンを大写しで画面に出したのは“映画史上初だ”と威張ってみたり、つくづく冗談が好きな人のようです。

そしてナット・キング・コールの歌で大ヒットした“モナ・リザ”が使用されてましたね。あれは1950年のミッチェル・ライゼン監督「別働隊」の主題歌ですが、大ヒット曲として当時の雰囲気を出すのに一役買っています。作詞と作曲はレイ・エヴァンスとジェイ・リビングストンのコンビ。

ミス・ロンリーは、来客があるつもりで一人芝居をしたりする、まさにLonely Heartsな女性ですが、睡眠薬自殺を図ろうとしたとき作曲家の部屋から好きなメロディーが流れてきて思いとどまり、ラストではその作曲家と近づきになっているのでした。作曲家の部屋にはヒッチコック本人が出ていたりしましたから(写真3)、仲人はヒッチかも(笑)。

そして、最初の頃にいろいろ各部屋の物語を展開するのですが、80インチのスクリーンで見ているとミス・トルソーの下着姿の徒手体操がなかなかでした。1950年代半ばなら、ミス・トルソーの下着姿だけでけっこう“大人たち”の欲求を満たしたと思われます。今そんな大人が写真2を見たら、スチュワートのSNSが炎上するでしょうけど(笑)。

そういえばパラマウント映画でしたが、まだビスタビジョンが開発されてなかったのかな。アカデミー・アパチャーの1:1.37が本来ですが、ソフトの仕様はヨーロッパ・ビスタでした。残念なのは4Kレストア版ではなかったため、いささか細部がボケ気味。CS程度の放送では2Kにもなっていないのかも。

とはいえ、セットはすごいですね。imdbのトリビアから引用します(翻訳はグーグルさん)。
>映画全体は1つのセットで撮影され、その計画と建設には数か月を要した。アパートの中庭のセットは幅98フィート、長さ185フィート、高さ40フィートで、31のアパートからなり、そのうち12は完全に家具付きだった。中庭は舞台面より20〜30フィート低い位置にあり、建物の中には5階建てか6階建てに相当するものもあった。

きっと制作費の大半をセット建築に使ったんでしょう。そんなことが許されるハリウッド黄金期を代表する映画です。そして作曲家のパーテイーの客としてキャスリン・グラントがまじっていたり、ジェフの電話相手の編集者の声はギグ・ヤングが担当していたようです。そんな起用にも、茶目っ気が感じられますね。
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