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2026年03月15日23:32

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「青緑青が明ける日に」を見て。〜青きセンチメントを封じ込める光の瀑布を広げた〜

キャラクター原案の依頼を転機として、アニメーション制作に踏み入った大友克洋先生の道筋と重なって。幾つかのアニメーション作品でのお手伝いから啓示を受けたのか、本業日本画家の四宮義俊氏が自ら監督として取り仕切った初の映像作品の登場。大友先生とは違って四宮氏の本業は申し訳ないけれど存じておりませんが、新たな芽吹きを目撃せねばと出かけました。

三浦半島の入江で300年にも渡って打ち上げ花火師として代々営んで来た帯刀煙火店の立ち退きが翌日に迫った日に、失踪した煙火店主の長男で役場に勤める千太郎の手引きで4年ぶりに花火工房を訪ねる大学生のカオルは、そこで引き籠っていた次男の敬太郎と再会する。カオルは幼少の頃から工房に入り込んでいて、次男同様、父親の榮太郎から花火師としての才を認められていた。家業とは、距離を置いた千太郎も含めて、工房を元に成長してきた三人は、この地で花火業を営む間まぼろしの手法とされていた「シュハリ」を敬太郎が掴んだのに乗じて立ち退きの日に最後の花火の打ち上げを目論む。

そのプロットから、妨害や困難を経た末に奇蹟の「花火」として、映像技術を駆使して華々しく映像を飾りたてるところを想像するところ。本作では、そういう華々しさを目指していないので、見る人によってはアテ外れの感を抱くかも。

起承転結や、現実を忘れさせる淡く絵に描いた甘い想いに浸らせるだけがアニメーション映像の果たす役割ではなく。76分という、長いほど良い傾向の今日の商業作品にあってはタイトな尺の中に、友情とも愛情ともつかない間柄にあって、相手には羨望を抱き自身のコンプレックスを抱えながらも繋がって来た三人の空気、雰囲気が映像から伝わってくる。

工房の内装とか、黒味を基調にした押さえられた全体のコントラストの中、着物や構築物とかに配した黄色とか緑色の透過加工された色調に過去を振り返るフラッシュバックとか加わって意識下にすっと沁み込む優しく、最新技術とか先鋭性とは無縁の生命感に溢れた映像は、ストーリーよりも人物間の感情や繋がりを照らして、欧州の実写作品寄りの印象であるところからも、異業種監督作は際立っている。

花火業のルーツが戦国時代の水軍由来だとか、まぼろしの「シュハリ」を具体的に肉付けすると奇跡の花火もドラマチックに描かれたのでしょうけれど。エンドタイトルでもお断りを企業に入れている、映像として仕立てられた日産ラシーンに乗って故郷を後に高速を走るシーンには、前日の晩にまぼろしだった花火を打ち上げて、自身の未熟さが詰まった青い過去に終止符を打った放心し切ったばかりの新しい日の「空気」が見えました。
四宮氏にアニメーションの仕事の神髄を授けたかもしれない監督の1人の作品は、スペクタクルにみせて、恋愛感情も併せて授けてくれて喜ばれておりますが、登場人物が自ら行動して起こった事を我が身のものとして受け取っていないので、こちらも受け付け難いのですけれど。対して本作は、自ら動いて、当人たちが事態をシッカリ受け止めているので、遥かに好感が持てます。

四宮氏に、次回作のオファーがある事を祈願します。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
シネプラザサントムーン シアター��にて

拙文の補足、予告映像↓
https://www.youtube.com/watch?v=msYhg_3tTvo&t=115s

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