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2025年02月02日23:11

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「キノ・ライカ 小さな町の映画館」を見て。〜住む町の期待を背負っても、気負わずそっけなく居られるカッコいい映画監督の映画館が出来ました。〜

世界中の映画監督の中で、自ら映画館のオーナーとなっているのはタランティーノ氏と、本作の主役に等しいフィンランドを代表する名匠アキ・カウリスマキ氏しか知らない。

本作は、2021年にアキ氏が住む街カルッキラって、おおよそ映画館を成り立たせるには「不都合」そうな、自然溢れて、鉄鋼産業が成り立たなくなって住むには良いけれど、観客が集まらなさそうな町にある鋳造の廃工場に映画館を、時に自ら大工仕事をしつつ共同経営者の作家ミカ・ラッティ氏と共に「手弁当」的に建てる様子を、街の人達やクリエーター仲間、監督の直近の作品「枯れ葉」に出たキャストや所縁の人達の談話で構成したアキ氏が自ら作ったかと錯覚しそうなフィクション的雰囲気を纏ったドキュメンタリー作品である。

想像では、「映画館を建てるには、この廃工場どう?」って話を持ち込まれたところから、完成し観客を迎え入れて大勢でにぎわう客席を見てアキ監督安堵するまで密着した映像で構成されていると思っていたのですけれど。

カルッキラの人達が語る「映画の話」とか、アキ作品の中でも見かけそうな現地バンドが街のライブハウスで演奏する様子とか、住人たちの親しむカルチャー背景。そしてお友達が語る監督とのお付き合いのエピソードに、アキ監督が犬以外にも昔ながらのアメリカの大型排気量のガタイはデカくとも燃費の悪そうなオープンカーに偏愛を持っている事とか紹介される合間に、映画館の場内用に傾斜の掛かった床を組んだり、スクリーンを張って映写サイズにマスキングが出来るかテストしたりする様子に、自ら座席の座り具合を確かめれば、建物内に設けるバーカウンターの木材の寸法を確認するアキ監督の姿の映像が挿入される。

いかにして、映画監督が映画館作りに打ち込んだかを見せるというよりも、北欧の小さな町と、モデルの映画監督の関りに焦点が寄せられていて。数少ないアキ監督が語る映像の中で、かって大都市ヘルシンキで映画館を持っていたけれど一度挫折した過去と、住み移ったカルッキラへの恩返しの意味合いでも、また映画館を立てようと決意した事を淡々と語る。そして、監督が自慢のオープンカーのハンドルを握って、町を流す後ろ姿が捉えられて。多くは語らずとも、その背中がカッコよく映る。

ニューヨークへ出向いて、ジム・ジャームッシュ監督がフィンランドへ出向いて雪が吹雪く中、アキ・カウリスマキ監督が愛用のオープンカーで幌も出さずに迎えに来て助手席にのせられた時のエピソードが、ケッサクです。

アキ・カウリスマキ監督作品を気に入っている方達にとっては、映画館作りに携わる監督の「人柄」を更に知って、見て来た作品と送り手にあらためて想いを寄せる事でしょう。見た事のない方には、これを機に手掛けた作品に触れる切っ掛けにしては如何でしょうか。

因みに本作は、若い方が父と共に小さな町で作り上げた客席16個の小さな町の小さな映画館で鑑賞しました。本作と被るところがあって、とても意義深かったです。伊豆高原や下田に伺う方は、その途中で寄り道されてみては。
劇場HP→https://kinboshicinema.com/

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
金星シネマにて

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