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2024年10月20日23:04

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「憐れみの3章」を見て。〜創造主目線で見下ろせば、そこもかしこも「優しさ」に包まれているのかもしれない。〜

邦題から受けるイメージでは、慈悲や同情を掛けたくなる人物や出来事で綴られていそうですが。今年初めの「哀れなるものたち」の監督とキャストの引き続きの競作にあたるので、邦題の「音」を揃えて関連性を呼び起こす意味合いだったのでしょうか。

2時間半を超える尺で三つのお話が、ほぼ同じ出演者が話の都度役柄が変わり、出演頻度もお話によって違って。それぞれタイトルが「R.М.Fの死」、「R.М.Fは空を飛ぶ」、「R.М.Fはサンドウィッチを食べる」とはなっていて。第一話目でシャツのポケット部分に、そのイニシャルを刺しゅうした中年男性が出て来るのだが、2話を見終わる時点では「目くらまし」的な意味合いだけで終わるのかと思いきや。(2話目から、その男は全く姿をみせ無くて。見終わって調べると「声」は、出していたらしいけれど。目に写るシーンに相対するので精一杯で、気付き様が無い。) それぞれ独立した逸話になりそうなところを、バーベキューの具材を突き刺す串の様に統制を図るが如く現れて。

3話目の中の主人公が、「奇跡的」事象を起こす主体を探す事に躍起になっていて。それまで行方すら気にされていなかった胸にR.М.Fの刺繍を付けた中年男が、突如、被験者として現れて。待ち望んだ事が実現されると、中年男はお話のカヤの外に追いやられるのだけれど、だからこその彼の後の描写が、見る者を「喰って」いるし。一見脈絡の無さそうな展開が一括りにされたようで、手練れた感じ。

オムニバズものも、幾つか体感してきたけれど。大抵は各々の話の起承転結を付ける事に務めているものだったかも。その分、登場人物の心情だとか、出来事の背景の更なる深掘りを求めたくなったりして、物足りなさも覚える事も少なくはない。

だからといって、本作が物凄く懇切丁寧に各逸話が描かれているかというと、そんな事は全くない。出て来る人物を印象付けながら、展開する出来事を追って、見る者の頭の中で世界観を構築して行く必要がある。3話目は、我が国でも報道されている新興宗教の実践行動と通ずる描写もあるので想像を付け易かったですが。

いずれにしても受け身の姿勢で臨んでは、本作を楽しめないのは間違いないでしょう。

それぞれの話の具体的な背景だとか出てきませんが、一般の常識、見識から外れた世界、はたまた人間界を超えた生物界において、そこに身を置かねば生きては行けない「従属性」を知らしめたいのではなかろうかと思うのですが。それを「哀れなるものたち」に見られた、ヨルゴス・ランティモス監督ならではのエロスと殺傷場面も時折織り込んで、描かれる。

なので、更に見る人を選別するのは間違いないですが。前述の通り表装的には不誠実な展開に、オスカー対象の前作と比べると、監督自ら脚本を再び手掛けた分、ストーリーの洗練さを放棄したかにも取れますが。唯一見た、ハリウッド上陸前の「ロブスター」にあった、カップリングしないと動物にさせられるといった、お題に登場人物を添わせるのではなく。ヘンではあるけれど、登場人物の心情が分からなくも無いし、その辺りに面白味が滲んでいるのが、今のサーチライトピクチャー下で、エマ・ストーンと組んだ事による変遷でしょうか。
具体的な提示を受けない「余白」を埋めるというか、想像力を促されて、終始飽くことは無かった。

3話の中では、特に2話目が自分には面白かったです。海難事故だかで妻の行方が分からず落ち込んでいるジェシー・プレモンスを同僚夫婦が食事に招いた件で、彼が、「妻の映像を見せてくれ」って、せがんで。失踪の傷を深くするから夫婦が見せるのを躊躇っていて、結婚式か旅行のものなのかと普通は想像しているけれど。オスカー二度も取っちゃうと、芸術が掛ると厭わなくなるのか。インティマシー・コーディネーターは、我が国と違ってシッカリ付いたうえで撮影しているのでしょうけれど。ともかく、下世話ながら笑っちゃいました。
なんか、品性疑われそうですが、人類の優性への懐疑に、情や身体も踏まえての結びつきの確かさだとかを見せつけられて、話の全貌を受け止められた実感が得られたのでした。

原題は、「Kinds of Kindness」。どのお話でも、信じる絆から「突き放されて」いて、「優しさのようなもの」を何処に見出せばよいのか、展開を追っかけている間は判り難かったですけど。他人にどう思われようと、その人自身が「意義」を見出せる場所に置かれているという神様的な高く広い視野からしたら、親切の何ものでもないのかなと。それが証拠に、3話目のエンディングでのエマ・ストーンの窮状から解き放たれたかの独り踊り。与えられた状況、境遇を享受するヨロコビを体現しているようで、自由に溢れている。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
シネプラザサントムーン 劇場�Δ砲�

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