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2021年09月18日09:20

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「モンタナの目撃者」を見て。〜逃げるは恥だから、まず立ち向かう〜

脚本提供の「ボーダーライン�機��供廚法�脚本兼監督作「ウインド・リバー」と、気骨ある作風で、今日にあって得難い存在である事を示したテイラー・シェリダン。見る者を捉えて離さないクライムストーリーの送り手として、殿堂入りとまではいかなくとも、高い信用度を寄せているゆえ、少々のほころびも、すんなりと許容できてしまうので、その辺はご勘弁。

邦題は、一目でイメージが付くように「説明」調になっていて。原題は、原作のまま「Those Who Wish Me Dead(私の死を願う者たち)」である。その日の朝、ただ独りの育ての親の父と、ニュースを見るまでは、いつも通りの生活を送っていたコナー少年に、突然、降りかかって来た理不尽な出来事。父は、何かに怯え、車で送って自分を学校で降ろすはずが、突然、親子で逃避行となるも、お世話になったキャンプ場への向かう山深い道中で、待ち伏せされた二人組の男に銃で撃たれる。息絶えかけた父に促されて、コナー少年は、ただ、ひたすら、父に託された秘密をしたためた手紙と共に、生き延びるため山道をさまよう。

観客は、俯瞰で見ているから、起こっている「出来事」は、判るものだけれど。さっきのコナー少年にしてみれば、なぜ普段と変わらぬ生活から、気持ちの整理も付かないまま、突然、窮地におちいらねばならないのか、到底、理解出来ない。少年の目線で、突如現れた暗殺者2名を指す原題タイトルは、状況に関して説明も何も与えられず、放り出された山中での追走劇と、始めは暗殺者のカモフラージュで放った小さき火が、制御不能の燃え盛る大火となって迫る危機を指しているかのよう。取って付けた感傷的なドラマは排除され、なぜ、コナーの父親は、暗殺者に狙われなければならなかっただとかは、少年には、理解された事ではなかったので、作品でも背景を説明するショットは、挿入されてない。

コナーの響きは、どうしても、「ターミネーター2」のジョン・コナー、機械が征服する未来社会の解放者となる少年を連想して。逃亡繋がりだし。こちらのコナー少年は、厳しい状況でも父親に文句も言わず、潤んだつぶらな瞳で、託された指示を果たそうと街への道を探す。その目前に現れるのが、アンジー姐さんの山林消火隊員のハナである。

ハナは、過去に火災現場で、子供を救えず、それ以来ずっと罪の意識に囚われていて。そのお陰で、自暴自棄な行動もして、心理的起伏が大きく、ノイローゼを抱えていたのだけれど。それが、目の前に現れたコナー少年の為に、ずっと絶望の淵で膝を抱えてうずくまっても居られなくなる。彼の話による、父を銃殺した二人組が、追っかけて来る理由もコナーが隠し持っていた手紙からハナ自身には理解されるも、見る側には示されず。ここは、銃弾が降ろうが、大火災が迫ろうとも、コナーをマスコミに引き合わせるため、手を取って行動せざるを得ない。

少年と落ち着いた女性といえば、「グロリア」とか期待をするも、1時間40分の近年まれな短い上映時間の間には、疑似母子の誕生を示唆するような、二人の絆の進展なんか、作品を口当たり良くする要素は、まったく配されず。コナーの父が当てにしていた、キャンプ場を管理する、黒人の女性は臨月が間もなく、旦那はイーサンと云う白人警官で、かっては、ハナとは恋人同士だったが、こちらも、現在の夫婦関係以上の係わりや心境など提示されず。

口封じのためコナーを追う暗殺者二人組は、対象が子供独りで、楽勝の仕事と踏んでいたのが、サバイバル教室を開くだけあって妊婦であるのに係わらず、馬で追撃するは、至近距離で不利なのに、ライフルを使いこなすと、暗殺者には、想定外の妨害者。そして、旦那のイーサンは、コナーの居所への案内を二人に強要されるも、気遣って拒否を押し通す。その辺りの「攻防」は、セリフも交えつつ、サスペンスアクションを盛り立てるカット繋ぎで、盛り立てるあたりは、さすが。

暗殺者の1人が、「マッドマックス/怒りのデスロード」のニコラス・ホルトで、荒廃した世界で貧弱だったニューロとは違って、逃亡後のコナー宅を訪れて、壁かけ写真から、逃亡見込みの場所を割り出すとか、トラッキング能力の高さに、その道に生きる者らしいしたたかさを漂わす。プロフェッショナルなコンビなのだけれど、彼らも、何故雇われたか、何故、コナー父を追わねばならないのかは、語られず。一度、少年を逃がし、補給で空港に戻るも、お目付け役の黒人と年長者のジャックが並んで語るも、セリフは少なく、追う側についての情報も少なく、失敗挽回の圧力だけが色濃い。

かように、必要以上の情報も、感情も排して、課せられた使命や任務を果たしつつ、迫りくる大火から逃れるか。どれだけ、心的外傷を抱えようとも、まず、目前の危機を受け止め、行動するかに絞られている。その分、あらたに芽生えた、女性と少年の「絆」とか、高らかに謳い上げられなくて、ドライなのは良いのだけれど。命を狙われる「背景」も、当事者以外知り得ない事だから、不自然にセリフに載せて語らずとも、一向にかまわないけれど。
コナー少年が、父の「指示」が果たされる様子をワンカットだけでも入ると、見る側は、胸を撫でおろせたかな。

アンジー姐さんは、ハナ役のどこに惹かれたのだろうか。まだ、キャリアの発展途上の女優さんが、体当たりで演じる役柄のような気も。どっちかというと、暗殺者2人の方に、もう少し、描写を割いて欲しかった気もして。彼女に出て頂ける事で、製作に漕ぎつけられたとか。そう、考えておこうか。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございます。
シネプラザサントムーン 劇場�イ砲�

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