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2021年09月12日00:13

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「孤狼の血 LEVEL2」を見て。〜狩られる前に、倒せ。「生かさず、殺さず」の大狼の教えも、生死のどんつき広島で断絶か。〜

既成概念で凝り固まっていた、松坂桃李さん扮するエリート刑事日岡の変貌を凝縮した前作のクライマックスでの「立ち回り」に、心掴まれました。けれど、それを凌いだのは、なんと言っても役所広司さんのマル暴のアウトローデカ大上の魅力。ハナから、日岡が大上に取って代われる訳が無いのは百も承知で、役所さんメインでは見られなかった、若さ故の過ちが織り込まれた、松坂「孤狼」の奮闘で綴られる新たなステージへの期待で、待望の続編に臨みました。

劇中、ヤクザ幹部の吉田鋼太郎さんが、「狼は、人間さまが根絶やしにしてしまったんかの。強ぉなり過ぎんのも、困りもんじゃ」と、日岡との密会の際に聴かせる。大上の教えに沿って、二大暴力団の敵対を日岡が取り仕切って、曲りなりに築きあげた「秩序」を、壊して抗争の火を付けて回る、鈴木亮平さん扮する上林の見る者を震撼させる狂気純度の高い、傍若無人っぷりが、巷で持ち切りでありますが。あと少し、上林の執着が、もうひと押しあっても良かったけれど、「眼」への攻撃はイカんでしょ。ルイス・ブニュエルのシュールな短編「アンダルシアの犬」での、カミソリを両目に当てて横に擦るカットを、脳裏の底から蘇らせてしまったわ。

日岡が、情報収集のコマとして徴用している村上虹郎さんのチンタは、日岡への忠誠心厚く、上林の元に潜り込んで、賢明に「責務」を果たすのだけれど、上林がタダのイカレ外道じゃなくて、裏切りや疑いへの感度が高く、チンタ目線だと生きた心地がしない状況の連続。

大上から倣った通り、日岡は暴力団を抑え込んで、ベンツを乗り回し、チンタと彼の姉で「接待を伴う」お店を切り盛りする真緒を援助したりして、警察組織内でも異彩を放って得意になっていたかもしれないけれど。取り調べを縫って被疑者の女性と艶っぽい遊びで、息抜きしていた大上に比べると、潜伏者のチンタのカバーに追われて、自身の保身に綻びが出る余裕のなさ。

対して、上林は、目の前のシノギに一喜一憂して、「とるかとられるか」の闘争本能を忘れた敵味方の幹部たちを、義理やしきたりもお構いなしに好き放題にあしらって。アクセル全開のレッドゾーンの常時臨戦態勢に、任侠ものには不可欠の強者ベテラン勢も形無状態で、なぎ倒されております。

そんな、上林の目立った暴れ振りの「外患」ばかりに目が行ってしまうところに、この度のヤマでの日岡さんの「若さ」が目に付きます。勤務外時間、この度の相棒である中村梅雀さん宅に招かれて、宅呑みの〆に出て来た、奥さん役の宮崎美子さんお手製の「タコ飯」を頬張る日岡桃李。外で強面で通しても、おふくろの味なんて、些細なものに、「緊張の糸」を切ったりするところに、成長過程と云うか、脇の甘さ、経験値不足が覗きます。

思わぬ「内憂」に、足を掬われる日岡なのだけれど、元来のクレバーさから機転を利かせて、「根絶やし」は逃れるのだけれど。前作からの、経験値上げで「LEVEL2」。タダで、終わらなかったところで、不利な形勢の挽回となる。本作は、3部作の原作2作目との間を埋める映画オリジナルで、作り手、観客が揃って、松坂日岡の更なる覚醒を見守ったカタチでした。当然、原作2作目の映像化は、実現されるものと思ってます。ただ、「句読点」となる、終わり尻のショットは、CGを使ってでも、凛々しい狼の姿を見せて欲しかったというのは、私感でありますが。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございます。
シネプラザサントムーン 劇場�Г砲�

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