３月は寒いからね

朝、だいたぃ7時くらいに起きる。
てゆーか、目が覚める。
年寄りなのだ。

で、寝床から起き上がるとまづ目に入るのは、本棚と、その前にづらーっと並んだベースとギター。ギターは一本だけだが、ベースは（いま）5本並んでゐる。
その全部がフレットレスである。
くろーい、つるつるの指板がてかてか光って並んでゐるのは、なかなか良い眺めだ。

が、私は本来、こんなに数持っててもしょうがないのだ。
昔は僭越ながら引っ張りだこだった時代もあるが、いまやその影もなく、セッションや参加バンドに合わせて楽器をセレクトする必要はない。
気に入ったのを一本、持ってればそれでよいハズなのだ。

なのに、なぜこんなに林立してゐる？。
これがスタヂヲにゆけば、まだある。
あと4本ぐらいある。
まぁ、レッスンにはレッスン用のを使うので、それぁいいか・・・。

とにかく、私は、私のくせに、本数を持ちすぎだ。
誰かに売ったり、あげたりして、数を減らせば良いのだが、なんせ変な楽器ばかりなので、おそらくたれも買ってはくれん。
タダなら欲しがる人もゐるかも知れんが、それはちょいと腹立たしい。

なのに、まだ欲しい気がしてゐる。

私がちゃんとした仕事に就き、そこで年齢相応のキャリアを持ち、そこそこの年収と、広い持ち家と、将来的にもまぁ不安にならぬ程度の保証を持つ身であらば、何本持ってゐても良からう。さういふ友人を持ってゐるが、彼などは「楽器部屋」まで持ってたりする。
羨ましい。

だが、私はフリーの音楽家だ。
しかも、非売れっ子の身だ。
分相応、といふ意味では、複数の楽器なんぞ持つべき身などではないのだ。

なぜか広告が次々と入って来やがる。
ビザールの、滅多に見かけぬ種類のヤツが、ピっとパソコンの画面上に現れる。
反射的に値段を見る。
これがゼロが７ツ以上並ぶやうではハナから諦めがつく。
現行のヘフナーが￥700,000とかあると、「へ」と思ふ。

が
「買えないこともない」値段のヤツだったりすると・・・。

懊悩、とはかういふ事をいふのか、と思ふ春の朧であった。