保守系論壇、ネット言論、政治家から
「偏っている」と批判される
「琉球新報」や「沖縄タイムス」。
「結局基地で食べているのに、
基地批判のことばかり書いてる」
「反対運動してる人は地元民ではなく
他からきた左翼系ばかり」、
なかには「この沖縄2紙はつぶさないと
いけない」という暴論まで出る始末。
著者はこういった風潮がなんなのか、
2紙の記者を直接取材し、考察していく。
読んでいくうちに、いかに自分が基地の
ことを知らなかったことを思い知らされる。
それなりに沖縄の歴史は押さえてきたつもり
だったが、やっぱり真実は現場にあることを実感。
例えば米軍が接収したために、
土地を奪われた老人がいる。
先祖代々の墓は基地の中にある。
だが自由に墓参りすることもできない。
いちいち米軍に許可を出さなければ
ならない。
許可は一週間後にしかおりない。
基地の近くに住む子どもが最初に覚えた言葉は
「怖い、怖い」だった。
頭上を飛ぶF15戦闘機の爆音に驚き、パニック
状態になったという。
沖縄は基地がなければやっていけない、という
論調が今でもある。
けれど沖縄県の調べによると、基地の依存度は
約5%。
復帰直後の1972年は15.5%だったが、
いまやその数字は大幅に減っている。
沖縄観光コンベンションビューローの会長はいう。
「沖縄経済の市場規模は年間約4兆円。そのうち、
基地関連収入は約2億円です。それは沖縄全体
から見れば”食っていける”だけの規模もない。
さらに観光産業から見れば、非常に魅力的な
場所に基地が集中している。
基地の返還が進めば、沖縄は大きなビジネス
チャンスをつかむことができる」
コロナ禍の今はのぞくとして、
沖縄の観光客は増え続けている。
当然、観光客は基地など見に来ない。
著者は記す。
つまり沖縄の基地は利益にならない。
基地で「食っている」のではなく、
基地は「食えない」。
沖縄が訴えているのは、生きるための、
生き続けるための「反基地」なのである。
もっと知ってほしい事実がこの本には
たくさん書かれている。
興味を持った方はぜひ一読を。
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