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2021年01月06日13:19

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言語化してもらってスッキリ 「FAKEな日本」 森達也

最も信頼しているクリエイターの
ひとり、森達也さんが、忖度社会の
日本の正体を探る本。

各界の強者にインタビューしながら
自分の作ってきたドキュメント映像作品を
巡る考察を続ける。
我らがコメディアン、松元ヒロさんも
登場!

この国に対して僕がモヤモヤしているものを
的確に言語化してくれる箇所がたくさんあり
さすが、森さんと膝を打つ。
ではスッキリした箇所をひいていく。
長くなるので、読みたい方だけ。

ピーター・バラカン、日本のテレビについて
「日本ではアメリカやイギリスのような
政治風刺の番組が放送できない。
理由は中立公正というルールが必要以上に
徹底されているから。
もちろん中立公正は、一般的なルールとしては
大切。でもひとつの記事や特別の番組がすべて
中立公正である必要はない。
それはそもそも不可能。
左のほうに偏った記事があれば、右のほうに
偏った番組がある。
それぞれが主張する。それによって中立公正が
担保される。
これが多くの民主国家のスタンダード。
でも日本はだいぶ違う」

オウムの一般信者の人権があまりにも
踏みにじられていることに違和感を覚え
「A」、「A2」のドキュメントを撮ってきた
森さんが有田芳生さんに聞く。
この問答は僕がつねに考えいてる
問題でもある。

「組織の負のメカニズムに対して、個は
どう立ち向かえるか」
「個の人間は、組織に帰属して、翻弄され
ながら生きている。でもその過程で、歴史に
名前が残らない多くの人が犠牲になった。
そこに今の日本が向かってないだろうか。
同じ歴史は繰り返さないというけれど、
過去は未来になるんです」

この有田の答えのあと、著者はこう記す。

確かにこの国は同じことを繰り返す傾向が
大きい。
言い換えれば学習が下手だ。
教訓にできない。
その理由の一つは責任構造の不在。
必ず追及できない。
なぜならば個ではなく組織共同体が社会の
基盤だから。
ここに働くメカニズムは忖度や同調圧力。
つまり自分の意志ではない。
疑似的思想。
こうして組織は動く。
一人ひとりには自分たちが加担している
ことの自覚がない。
その構造を直視しない。

僕は勤務していた国鉄がJRに変わるとき、
さまざまな人間模様を見てきた。
以来、組織には属さず個で生きることを
決めた。
そんな僕に、この本は、
いろんなものを示唆してくれる。

本当のインテリジェンス。
読み終わって、僕はそんな言葉を思い浮かべた。
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