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2020年06月21日00:53

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ソフトな仁義なき戦い、「弧狼の血」 柚月裕子

16、7歳の頃だ。
タバコの煙が立ち込めている
二番館で、やくざ映画とポルノ
が入り乱れての3本、4本立て
をオールナイトでよく観た。 
 
硬い椅子の上でうつらうつらしながら
それでもSEXと暴力シーンには体が反応して
目覚めた。
「仁義なき戦い」「県警対組織暴力」
「仁義の墓場」などなど、スクリーンから
ほとばしるバイオレンス、どうしようもない
男たちの生きざま、死にざまを凝視した。 
 
映画化もされた、柚月裕子のこの代表作には
そんなやくざ映画の匂いがある。
けれどどこか優しい。
この手の映画にありがちな女を食い物にしたり、
男を癒すための存在として描いてないからだろう。
柄は決して良くないが、どこか品がある。
   
「わしらの役目はのう、ヤクザが堅気に迷惑
かけんよう、目を光らしとることじゃ。
あとは――やりすぎた外道を潰すだけでええ」
主人公の刑事、大上章吾の台詞通り、
彼は清濁併せのむ、ギリギリの捜査で名を馳せる。
タッグを組むのは、大卒の新米刑事。 
    
徹底的なリアリティとひとひねり、ふたひねり
あるストーリーは、読み始めたら止まらない。
著者の本を読んだのはこれで3冊目だが、
今のところ、すべて面白い。
さあ、次は第15回大藪春彦賞を受賞した
「検事の本懐」を開こう。


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