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2019年08月06日15:07

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蒸し蒸しmixi日記22

どういう親戚だったかよく知らなんだのだが、「おじさん」と呼んでゐた数名のおじさんの中に、ウチの血族ではわりと珍しい、やや下品なかんぢのするおじさんがゐた。

インテリが多く、教師科学者の多い家系の中にあってこの人は、いつも酒に酔ったやうな(酔ってゐたのかもしれん)かんぢ・・・志村けんが酔っ払いの真似をしてゐるやうなかんぢだった。

私はこの人が苦手であった。
名誉のために云ふと、私が知る限り「本当に下品」だった訳ではなく、暴れたり喧嘩したりする訳でもなく、子供にも優しかった。ただ、やたらと声が大きく、その話す内容に品がなかった、といふ風に記憶してゐる。

窓を開けたらすぐそこに墓地があるやうな家に住んでをり、まぁ近所だったこともあってか、なぜかウチの家族はよくそこに行った。

夏の暑い時に、その人に家に行った時、麦茶を出してくれた。
これに塩が入ってゐた。
今思へば麦茶&塩はミネラル補給の観点で理想的であり、あのおじさんはそんなことが常識になる前にそれを実践してゐた訳なのだが、この「塩っぱい麦茶」に幼かった私は大層驚き、さらにこの人が苦手になった。

自我が芽生え、親と一緒に行動しなくなってからは、親戚づきあいの一切に顔を出さなくなったので、このおじさんがその後どうなって、結局誰だったのか知る由もない。

多分、それほど最近ではない時期に亡くなったのだらう、と思ふ。
当然、葬儀にも出てゐない。

いま、50を過ぎ、この異常な暑さの夏を何度か迎えるうちに、フとあのおじさんのことを思ひ出す。
あの塩っぱい麦茶の味。
窓から見える墓地。
蝉の声。


試しに塩を入れて麦茶を飲んでみたが、やはりマズかった。

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