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2019年01月26日23:06

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「見逃すねー」のおはなし

いつもの酒場、いつもの常連。
僕が「めんたいぴりり見て。江口カンの新作やけ」と
口火を切ると、
「そうなん。わかった、行く」と米屋。
年金旅人は少し苦い顔で、「この間TNCのスペシャル、
5時間半一挙に観たんよ。だけ、お腹いっぱいで」
「映画は違うけ、ぜひ観て」とツッコミ、
旅人もうなずいた。
                             
そして話は映画つながりで、「ボヘミアン・ラブソディ」
の話題に。
米屋ぽつりと、「確かにいい映画だったけど、
ゲイになった
ぐらいであんなにロックミュージシャンが悩むかなぁ。
いいやん、別に」
俺、「でも最後のコンサートのシーンはすごかったやろ」
米屋、「うん。声も出ないのによく頑張ってたし、
確かに良かったけど。でもプロだったらまぁ、
そのくらいね」
ここで僕の胸の中に、イヤな予感がよぎった。
「うん?」「まさか」
「ねぇ、フレディ・マーキュリーがエイズになって、
命をかけたコンサートがあのシーンってわかってるよね」
と念を押すと、
米屋、「え、そうなん。いや、早く死んだやなぁとは
思ってたけど、そうやったん」だって。
                            
「いやいや、そこがこの映画の大きなテーマやろ」と
突っ込みながら、僕はなぜか愉快でたまりませんでした。
だって、「見逃すにもほどがある」でしょ。
僕にとって大物、器のでかい人というのは、こういう方の
ことをいいます。
きっと彼は「七人の侍」を観ても、「九人ぐらいいたよねー」
と笑って返してくれると思います。
                            
変に小利口より、「見逃す人」でいたいね。
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