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2018年04月08日11:08

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割と久しぶりなmixi日記22

こないだフと思ひ出したのは遥か太古、17歳かそこらの頃だったか、に経験した「狂宴」の記憶だ。

今のところ、人生で唯一、本当に休みなく演奏し歌い続ける、といふ事をした経験でもある。

花見の季節だったやうに思ふ。
数人の音楽仲間で集い、知人に請われるまま演奏を始めた。
なにがどぅなったのか明確な記憶はないのだが、その時の演奏は4時間続いた(もっと長かったかも・・・)。

演ったのは1コードのブルーズ。
それぞれが思ひつくままに即興で歌詞をひねり出し、歌い継ぎ弾き継ぐうちやがてそれは「狂宴」に変わってゆき、雨が降り始め、人々は去り、灯りも消えた夜の公園で、しかしワシらはそのまま演奏をやめなかった。

狂ったやうにギターをかき鳴らし、そこら辺にあるものを叩き、声の限りに絶唱し続けた。
一本、二本、と弦が切れ、一本だけになった弦をさらにかきむしり、それも切れ、音が出なくなったギターを叩き続けても、演奏は終わらなんだ。

どのやうにフィニッシュしたのかは憶えてない。
が、土砂降りに近くなった雨の中、ズブ濡れの身体(裸になったやつもゐたな)から湯気を立てながら公園を下り、交番の前を通った記憶はある。


ぢつはこの様子を録音した120分テープが存在してゐて、一度だけ耳にしたことがある。
録音の開始は演奏の開始、最初の60分は、まぁ比較的まともに演奏し歌ってゐる。周囲にゐる人の声や拍手も入っており、これがまだいちをう「ライヴのてい」を成してゐる事がうかがえる。

テープがいつひっくり返されたかは分からぬが、裏面に収録された演奏には、すでに音楽の形状はない。ただ何かを叩くリズムと、おそらく最後に残った一本の弦による低音がゴンゴン云ってる音、それらにかぶさって好き勝手な事を喚き回ってゐる数人の男たちの声。
それにかぶさってレコーダーに当たる雨つぶの音、が、またまた60分収められてゐた。

もし自分が部外者としてあの光景を目にしてゐたら、即座に走って逃げたであらう狂宴だった。通報ぐらいしてゐたかもしれぬ。


その時のメンバーのうち、ふたりは堅気になり、ひとりは消息不明となり、ひとりは怪しげな商売をはじめ、しかし成功は収めてゐる。

ワシだけが、あまり変わらない事を、今もやり続けてゐるのは、因業としか云ひようがない。



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