年を経た男=父親、が家庭で蔑ろにされてゐる、といふ話しはよく聞く。
「結婚して、子供が出来て、家庭を重んじて家にゐるやうにした挙句、この歳になると、むしろ『家に居るな』と云はれる」
とは、熟年バンドの笑えるMCだ。
女系家族の場合、その傾向は強いやうで、家庭内に父親しか男が存在せぬ家族、といふのは、なかなかにエレジィなかんぢのやうだ。
「俺が自室に引き上げると、リビングが華やぐ」
「女性達の嬌声があふれる我が家に、自分が帰ると、静かになる」
「家では、自分一人、自室で飯を食ってゐる」
「朝、目が覚めると、だれもいない」
エレジィ、である。
その家庭を作り上げる為に、家庭を顧みず働いた結果、家庭から追放される男達。
こは野生動物の世界でも同じで、だぃたぃにおいて、群れを作るタイプの動物は、雌によってそのアルファが構成されてゐる。
なので、さういふ動物のオスは、頃合いをみて群れを離れる。
そして、放浪する。
雄、と云ふのは、さういふ生き物なのだ。
しかしまた、さういふ侘しさ、哀しさ、間抜けさ、は、男のロマンでもある。
旅せよ、男。
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