「この人は何をやって暮らしてゐるのか?」
と思はしむるヒト、と云ふのがゐる。
ひと昔前のワシの周りは、そんなのばっかりだった。
先日、ウチに定期的に来る訪問販売員の女性が、新聞に出てゐたワシを見たらしく
「梶山さんって、ミュージシャンだったんですね!」
と云った。
「まぁ だから貴女が来るこんな時間に、いつも家におる、って訳です」
と答えると、
「なんの仕事してらっしゃるのか気になってたんです」
と云ふ。
さうだらうな。
ひと昔前、ワシの周りにうぢゃうぢゃ居た、あの、大人なのにオトナのにほひのまったくしない、だが強力な成熟オーラを持ったあのヤバげな人々。
あぁいふものに、どーやらワシはなってゐるらしひ。
10代の後半に描いた自分の将来像は、
「音楽家として成立し、大成功は収めぬまでも、安定的な仕事を持ち、仲間に囲まれ、そこそこ美人の嫁と暮らし、ときおり旅に出て、旅先でうどんを喰ふ。そんなミュージシャンになりたい」
だった。
近い。
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