旅立つ朝は雨がいい
お前はさう云った
涙が流れても
誤摩化せるから、と
若い時分にそげな唄を作った事がある。
こげな歌詞は、実際に旅をせぬものだから書くのである。
戯言だ。
実際、旅立ちの日、どころか、旅の間に雨に降られると、たいへん困る。
旅の荷物の中に「雨具」を入れるかどーか、は、たいへん重要な岐路となる。
基本的には『雨はないもの』と考へ、雨具は出先で調達する。
いまやコンビニなどで、簡易な傘が入手できないところは少ない。
だが、あれとてタダではない。
よしんば半日の雨の為にアレを手に入れたとして、たとえば10日ある旅の行程の、他が全部ピーカンだったら・・・。
そは「無駄な買い物」ともなる。
ちょい以前までの旅には、ベース+えへくたケース+荷物、といふ3ツの手荷物をセットにしてゐた。パっと撤収できる、といふメリットはあれど、ニンゲンには肩がふたつしかなく、この「3ツの鞄」といふのがストレスであった。
しかも雨が降ると確実に傘からハミ出るのだ。
やがて、ある雨の多い日程のツアーが予想されるとき、中型の防水スーツケーツに全部収納し、ベース+スーツケースといふ2点セットで旅した。
この時の利便性に味を占め、いまや旅にはこの2点セットがデフォルトとなってゐる。
雨が降っても、楽器の事だけを気にすれば良いので、だいぶラクだ。
だがまだ「全行程が雨だった」みたいなモノは経験しておらず、しかしこれから先さういふ事が無いとも限らぬ。
旅立つ朝は雨がいい、などとふざけた事を唄うのはやめやう。
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