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2006年09月27日01:40

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児童劇団の話2

昔話の続きだ。

児童劇団は高校野球と一緒で「教育」と言う意味合いもあった。
演劇や放送に携わることを通じて立派な社会人になってもらおうと言うのである。
だから、毎学期通知表を提出させられて、成績が下がったら退団となった。
仕事ができる時間も決まっていた。
基本的に学校がやっている時間や深夜はダメ。
今でもそうだと思うが、NHKの児童劇団はその辺がちょっと厳しかったように思う。

わたしは六期生だったのだが、七期生に前川郁子さんという可愛い女の子がいた。
大人しくて理知的で、笑うと笑顔がステキで八重歯がちょっと見えた。
よく劇団室で逢ったのだが、逢うとドキドキして、話しかけたかったが話せないでいた。
…そう、初恋をしていたのだ。
四年生の頃だったと思う。

彼女とは一度だけ一緒に仕事をした事がある。
ガラスをテーマにした教育番組に使う、男の子と女の子がガラスに顔をつけているスチール写真を撮るという仕事だった。
すぐに済んでしまう簡単な仕事だと思ったが、早めに行って廊下で待っている間嬉しくて嬉しくて…それでも話し掛けられないくて…。
彼女は所在無さそうに本を読み出した。わたしは、わが身のふがいなさに腹が立つやら情けないやら…。
さて、スタジオに入って撮影と言うことになったら、ガラスが冷たくて曇ってしまうのですぐには撮影できないとカメラマンが言い出した。
ガラスが温まるまでちょっと待っていてくれと言うのである。
…で、スタジオに二人きりにして大人たちは出て行ってしまったのだ。
今考えると、わたしの気持ちを察して、チャンスを作ってくれたんじゃないかと思うような展開だ。
しかし、話せなかった。…このバカバカ!
仕事が終わって別れて、今度逢ったときは絶対話し掛けようと思って、あれこれ言葉を考え、何日かして劇団室に行くと、前川さんは来ていなかった。
思い切って先生に聞いてみたら、お父さんの仕事の関係で引っ越したのだと言う。
「……!」
初恋は悲恋に終わると言われるが、小学校四年で味わった失恋。
なぜあの時話し掛けられなかったのかいまだに悔やまれる。

この話には後日談がある。
数日して先生に言われた、「この間の写真ね、もらったのよ。きみにあげるわ」
…というわけで、このときの写真はいまウチにあるのだ。
女房には内緒だけれど…。

もう一つ後日談がある。
あの時、彼女が読んでいた本は、ヒュー・ロフティングの「ドリトル先生航海記」だった。
わたしは親にせがんでこの本を買ってもらった。
すぐに読破して「ドリトル先生」シリーズを完読。
以後、読書が好きになった。

劇団の同窓生と飲んだときに前川さんのことを持ち出したら、わたしの他にも狙っていたやつ(複数)がいて、引越し先まで捜し当てたやつもいたらしい。
でもすぐにまた引っ越したので所在不明になってしまったとか。
しか〜し、一緒に写した写真を持っているのはわたしだけだろう (^_^)v
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