mixiユーザー(id:6327611)

2026年09月13日00:14

42 view

1959年にこんな映画が作られていたから、日本映画の衰退は必然だったのだと僕は思う。小石栄一監督「旋風家族」(1959)。

例の映画データベースには、この映画の記載がありません。ウィキペディアには記載がありましたので、出演者等はそちらから引用します。それによると1959年1月28日公開とのこと。ということは併映は小沢茂弘監督「無法街の野郎ども」だったのかもしれません。東映チャンネルが“発掘”して、2018年8月10日に初めて放送されたようです。

池貝建設の社長・大三(志村喬)と道子夫人(清川虹子)には、二人の息子(健一=大村文武、次郎=江原真二郎)と一人の娘・由紀(小宮光江)がいます。次郎は大学生ですが、父親のツケで酒を飲んだりしていますから、いちおう二十歳過ぎか。そしてラストには両親の銀婚式と、息子や娘の結婚式を同時に執り行うから、長男でも24歳以下でしょう。

一人娘の由紀は音楽教師の田村五郎(高倉健)に惚れており、家出をして一緒に暮らし始めます。それを手伝った次男の次郎は、“さっさと既成事実を作れ”とけしかけますが、由紀は結婚するまでは関係を持たないつもり。一方、両親の手前“孝行息子”を演じている長男健一は、ちゃっかり父親の秘書新庄比佐子(中村雅子)と関係を持ち、妊娠させてます。

ま、題名通り“旋風家族”であることはいいとして、登場人物たちがそういう状況に対して実にテキトーなクリシェしか語らないところがバカバカしいのでした。もっとバカバカしいのが次郎の音楽センスで、“フラビリー”なるポップ音楽で売り出そうとする。すでにロカビリーでエルビス・プレスリーが名を成している頃ですから、冗談にもならない。

さらに次郎に目をつけて売り出そうとするプロモーターがペギー葉山さんでした。御年25歳ですよ。“南国土佐をあとにして”の大ヒットが出るのは、この映画公開の4か月後でした。歌謡界の裏側をチラ見せしたり、企業間の実益目当てで息子や娘の縁談を運ぼうとするし、それでいて父親は“養子だから”と妻に頭が上がらない。

ということで、笑いのネタはいろいろありそうなのですが、いちいちバカバカしくて、笑いに載せられるという感覚が皆無。高倉健が“トゥ・ラブ・アゲイン”を弾いてみせたりするかと思うと、母親の清川虹子がショパンを知らないという体たらく。こんな、吉本新喜劇の養成所でも誰も書きそうにない脚本、あきませんで。

そしてペギー葉山さんの妹に扮し、主人公次郎といい仲になるのが佐久間良子なのですが、これまた見せ場というものが与えられていません。どっちかというと志村喬とペギー葉山が中心で、そのワキに悪漢として神田隆がでてくるという寸法なのでした。小川英っていう脚本家は、岡本喜八の「殺人狂時代」の作者なんですけどね。

とりあえず高倉健が音楽教師で、ピアノを弾きまくるという部分からして、僕は東映のホームコメディーってこんなもんやろか?とうんざりしました。東宝ならクレージーキャッツかスマイリー小原あたりが出てきて、そこそこ“ジャズ”という言葉で納得させてくれるのですが、ペギー葉山さんが歌謡曲を歌ってもジャズには程遠い。

要するに、作っている人間が音楽なんかどうでもいいという発想なのでしょう。そういう監督さんは現代劇を撮らずに、京都撮影所の常設街角でチャンバラ映画を作っていたらエエんとちゃいますやろか。その一派が黒澤明の「用心棒」の影響を受けて、集団時代劇へ走り、それがさらにヤクザ映画へと発展したわけですけどね。

そんな映画ですけれど、きちんと「The Happy Family」としてimdbには記載されているのでした。それを記載漏れのままぶん投げているオールシネマ・オンライン、ほんましっかりしてや。東映側も、きちんとしたプレスシート作ってますやんか(写真3)。中原ひとみが長男の見合い相手として登場し、“お見合いなんて、知らない”と煙に巻くのでした。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2026年09月>
日 月 火 水 木 金 土
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930