ブリジット・バルドーが、まるで自分自身の実生活を演じたような、スター俳優となった女性の私生活をパパラッチが追いかけるという物語です。しかし僕にとっては、BBの色気なんてものをまったく理解できていない15歳の夏に見たわけです。同級生たちからは“エッチな映画見やがって”と妬まれつつ、“話し方大会”のテーマに選んだのでした。
英語題名が「A Very Private Affair(とびきりプライベートな出来事=翻訳はグーグルさん)」で、まだ日本にパパラッチという言葉が伝わってこなかった時代の話です。あのころ戦後復興のマーシャル・プランにより、欧州各国で稼いだ金を自国に持ち帰れなかったアメリカは、ヌーベルバーグ作品の世界配給権をちゃっかり手にしていたのでした。
そういえばこの「私生活」は、僕が“初めて見たヌーベルバーグ映画”だったと思います。冒頭、自宅までモーターボートを使うジル(ブリジット・バルドー)のカットが、ポンポンと中抜きで飛ぶ。その感覚がとても新鮮でした。そして今回見直して感じたのが、ボート乗り場から自宅へ向かうジルを捉えた手持ちカメラの優雅な動き! これが“映画”です。
バレエのレッスンをするBBの姿や、指導するダンサーの動きの良さがいいのですが、伴奏のピアノの音質が、まさにバレエ教室のピアノというガサついたそこらにある音質なのでした。←先日「血を吸うカメラ」を見て、モイラ・シアラーが殺されるシーンの、ビブラフォンの心地よい抜け具合にびっくりしたのと“180度”違う。アクチュアルなのです。
わがままなジルは、写真のモデルをして金を稼ぐことを覚えます。“写真のモデルから映画出演までは、すぐだ”というナレーションもいい。とにかく徹底してジルというわがまま娘の勝手な振る舞いを、当時28歳のBBが演じます。15歳の無知な中学生の僕が、いまの僕がBBを眺めるような気持ちを持ち合わせていたはずがない。それでいいのです。
そしてイタリアのウンブリア地方スポレートという町で行われた、意欲的なオペラの公演が見事な舞台装置なのでした。1958年ごろから町そのものを舞台にした、野心的なオペラ公演が行われていたらしい。そんなことは何も知らない僕でしたが、母親の恋人の高級車に乗ったジルが、町に近づくとオペラの音楽が聞こえる。そのゴージャスなこと。
てなわけで、僕は長い長いラストシーンのBBのスローモーション場面に、とてつもない感動を覚えたのでした。BBの肉体美の強烈さなんか1%たりとも実感していないのに、ゴージャスな映像とわがまま娘の爪弾く“シドニー”のメロディーには、ぞっこんだったわけです。もっと言えば、小学生にだってこの映画のセクシーさは“通じる”のです。
そんな4Kレストア版を、2年前の9月に劇場で見ていたのですが、今回はザ・シネマでハイビジョン録画しました。このチャンネルは悪天候だと画面にノイズが走るのですが、とりあえず個人的に所蔵するのだから“充分”な画質でした。というか、これ以上を求めて5000円以上出費する気になれないのです。←我ながらケチやと思う。
あ、もっと若くてピチピチしたBBが見たい方は、「この神聖なお転婆娘」などをおすすめします。カーク・ダグラスがハリウッドに連れ帰ろうとしたBBは、やはり小娘時代が最もいいように思う。なにしろ“性的魅力”というものを、堂々と売り出した数少ない世界的女優さんです。そんな“お宝映像”を、ぜひご覧ください。いや、嫌ならいいよ(笑)。
ログインしてコメントを確認・投稿する