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2024年12月25日00:03

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「ロボット・ドリームズ」を見て。〜互いに夢みるほどの思い出が、今を生きる道を示す〜

シンプルな線画による素朴な絵柄なので、お子様の付き添いでみるアニメーションかと情報を耳にしていない方が決めつけたとしたら、直ちにそれを払拭願います。擬人化されて二本足歩行する動物たちが暮らすニューヨークの街で孤独を抱えた犬と通販ロボットが過ごす約1年に渡る物語は、共有された楽しくも掛け替えの無い想い出が相手への「絆」を強めて、相手への失望も自分の過ちも受けとめ互いの立場を「尊重」出来るまでのステップアップを寓話的に見せる。

セリフやナレーションを排除しているので、作り手による恣意的なリードが無い分想像力を働かせなければならないし。学校や社会の集団に出た際に、自身の立ち振る舞いが試され、その中で「親しい人」との関係性を得た際に思う気持ちや経験があればより受け止められやすいので、無垢なお子様を本作に向かわせるのは難しいかなと。

Mr.ロンリーのドッグ君が、深夜の通販CМでロボットをお取り寄せしてから、掛け替えの無い存在である事を自覚するセントラルパークでローラースケートを履いて、アースウインド&ファイヤーによるスタンダード「セプテンバー」に乗せて踊りはしゃぐ場面の到来が、想像よりも早く到来。お金で買ったとはいえ、ニューヨークで初めて掛け替えの無い存在を得たドッグ君が、勢いで海仕舞い当日の海水浴場に出かけたは良いのだけど、甲羅干しの間にロボットを錆びつかせてしまって。動けなくなったロボットを泣く泣く残した海水浴場は閉鎖で、互いが離れ離れになってからの流れゆく日々の描写に尺を取る。

初秋から翌年の海開きを迎えるまでの、再び独り生活を送るドッグと一台寂しく砂浜に置かれたロボットのそれぞれの孤独への対処と二人の楽しき日々を端とする想像の世界と、実際に降りかかった出来事が綴られる。タイトルを聴くと、夢に出て来るようなロボットとも捉えてしまいそうになるけれど。現実的には想定し難い、ロボットの記憶から紡がれる迎えに来るのを心待ちにしているドックとの生活の想像、妄想を指している。

ロボットが抱く「夢」の表現で、雪が降り積もる砂浜で埋もれていた「彼」が、砂時計の如く画面の最下部にこぼれ出たかのように身体ごと落とされるや囚われていた海岸の場面から自由を経て、ドッグが住む街へと駆けて行って。道路端のひなぎくのような花びらたちとバズビー・バークレイ風の幾何学的ミュージカル場面に流れる曲も、「セプテンバー」のフレーズを織り込んだうえ、ドッグとレンタルビデオで見た「オズの魔法使い」のレンガの道に、ブリキの願いが叶ったかの様に金属製のお友達ロボが「心」を得つつあって。映画の核に据えた曲の扱いとクラッシック映画の引用を踏まえたアニメーションならではの見せ方の数々に陶酔しました。簡単そうに見える画のタッチでも、これまで映画で目にして来たニューヨークの街並みを思い起こさせて、美術的完成度も高い。

私の記憶が確かなら「セプテンバー」は、時間が経過して12月頃に「あの9月の頃は良かったね」って良かった頃を振りかえる歌詞だったはずで。その歌があらためて、劇中に流れる瞬間、悦びも束の間置かれた現実の「寂しさ」に「気まずさ」も覆ってくるのだけれど。苦いと思われる選択も互いの存在を認め合える「絆」が確であったが故で。作品自体には全く共通点ないけれど、書き込まれたニューヨークの街並みの影響もあってか、伝説の二流マネージャーをデリカテッセンで同業者達が語る形式で描くW.アレン監督の「ブロードウェイのダニー・ローズ」を見た際の味わいを思い起こさせて。ますます、本作が好きになりました。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
シネマサンシャイン沼津 シネマ7にて

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