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2024年02月11日23:44

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「ストップ・メイキング・センス 4Kレストア版」を見て。〜始まったら、構えず、映画に身をゆだねるべし〜

このコンサート記録映画のタイトルに引用されている、その中でも披露されるナンバーからの歌詞「Stop Making Sense」とは、表面を装って、気取るなって事だけど。

製作40周年を記念して音と画像が整えられて大画面に投影されたステージでのトーキング・ヘッズのパフォーマンスを目の当たりにすると、時間の隔たりなんか吹っ飛んで、「記録」として切り取り保存された盛り上がり、グルーブが、最新最高の再生装置から客席を振るわせて。どうにか周囲に迷惑を掛けない程度に、こちらの身も心もリズムを取って呼応して、瞬く間に「見てやるかの」構えは外されて没入してしまう。

カテゴライズとしては、ロックという括りになっているけれど。主要メンバー以外は、黒人のギター、キーボード、打楽器、コーラスのサポートで、ただ、電気音で圧倒するとか、管楽器で誇張するとかでもなく。ソウルフルなリズムのビートやメロディに寄っていて。やかましさに煽られるのではなく、聴いている内に、自ずと演奏にのせられる感じ。

でも、バンド音楽として聴かせ処は、シッカリしていて。ジャンルは違いますが「BlueGiant」の原作漫画で取りざたされている、1人の楽器ソロから、別のプレーヤがそれを引き継いだソロフレーズを演奏する件も見られて実感できたのも、有難かった。

そして、バンドの矢面に立つフロントマンとして、如何にも気の弱い白人インテリの風体のデビッド・バーンが歌う内容というのが、例えば愛だとか恋だとか、そんな耳あたりの良いものじゃなくて。「今居る綺麗な奥さんは、自分の妻じゃないんじゃないか」とか、「家に火を放て」だとか、ストレスを抱えて、猜疑心に苛まれてのパンク的なもので。そうは言いつつも、他の劇映画でも挿入歌や後テーマで採用されている、帰るべき場所としての我が家を歌った、このドキュメンタリー中でも披露される「This Must Be the Place」は、素直な気持ちが現れた名曲です。

映画のポスターデザインに採用されている、歌舞伎を参考にしたらしい、自分の身の丈よりも大きなスーツを纏って、操り人形みたいな身振りを入れつつ歌う姿にも、何かに囚われて暮らす我々現代人を重ねてしまう。

けれども、内省的な歌詞を載せているメロディやリズムというのが、物凄く、聴き手の波長に合うのか、容易く入り込んでくる上に、産み出されるうねりに巧い事乗せてくれる。照れ隠しなのか、D.バーンは、間奏中、ステージを走り回ったりしているが、バックダンサーが付いたりだとか、ステージ上で電飾や花火や銀テープが舞ったりだとか、ショウアップもせず。見る人各々に、シンプルに委ねているのも、心地よい。

1曲目にD.バーンがカセットテープレコーダーで再生するリズムBOXの音にのせて、独りで生ギターのみで歌い始めてから、メンバーたちが次々出て来るのに合わせて、楽器をのせた舞台を裏方さんが設置するところも画面に映り込んで。舞台裏の楽屋ショットや、聴衆も、終わり間際には出て来るけれど、それまでほぼ写さず。あとは殆ど、ステージ上を手持ちカメラで撮っていて、ステージ全体を捉える固定ショットも殆ど無い。余計なところに気を取らせない様に、ステージ上の演奏を追っていく記録映像の収め方も、公開から語り草になっている。

監督は、この後「羊たちの沈黙」や「フィラデルフィア」の劇映画で評価を集めるジョナサン・デミで。デビッド・バーンも、自身のプロモーションビデオや、劇映画の監督の経験もあって。当然、ステージを仕切るスタッフも居る訳だし。コンサート記録映画として、ベスト作品に必ず選出される本作を、仕切った張本人は、誰になるのかって、調べればわかる事を気にしつつも、ビデオではなく、劇場で味わえた89分の陶酔を反すうしております。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
シネマサンシャインららぽーと沼津 IMAXシアターにて。

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