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2024年02月04日23:23

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2023年劇場で見た映画ベスト10 邦画篇

去年の前半は、お目に掛かる邦画のツブが揃わなくて、当初は、どうなる事かと気を揉んだものです。年の終りには、米国のWストもあって、海の向うでも作品不足の間隙を縫って、日本の大手メジャー作が、ソコソコ収益と評価を得て。モトモト外国での神通力を付けていたのが、開花した訳で、急激に邦画への理解が開かれ門戸が開いた訳じゃあない。
自国の市場も、TVでの馴染みや、固定客が付いたジャンル以外は、相変わらず弱くて。結果、出演者も、主役を張れば、すぐさま脇に回った作品がお目見えの状況。それでも、「明日は決して暗くない」と、年の後半は、先細る洋画をしり目に、見るべき作品が続きました。ただし、実話ベースのものは、「辛さ」が先立ち「投資」が有効じゃなさそうなので、敬遠しております。
洋画と同様、数少ない鑑賞作品から抽出した10本の並びをデザインいたしました。�Г泙任砲蓮�表に見え難かったり、絶えず「なりたい自分」を口に出して有言実行を果たしたりと、「情熱」が根底にあって。�Δ寮鏝紂△泙気縫璽蹐了�代を生き延びるに必死だった「個」の時代を経て、江戸の頃から、現代の都会から、地方までの様々な人々の繋がりが�グ聞濛靴辰討�ります。
では、カウントダウン形式で記しますので、よろしければお目通し願います。
(なお選出10作品と、泣く泣く振り落とさせて頂いた数本の詳細な所感は、総て過去の日記に1本ずつ独立してあげております。)

��波紋
 訳など判ってあげられない夫の失踪から、突然の帰還があっての癌闘病告白。それを端に発した自身の宗教信仰に、息子が障害者女性との結婚宣言と。多重奏的に勃発した問題の波紋に耐えかねて、最後の最後にフラメンコでパッションを爆発させる筒井真理子さん。もう少し、ミシェル・ヨー姐御のオスカーゲット作の様に、悩みの混沌の中にバランスが取れたら、真っ赤なフラメンコ衣装も、もっと映えて見えたかも。

��アリスとテレスのまぼろし工場
 続くこちらも、女性監督作。ロックダウン状況下をなぞらえた状況設定、見ないと伝わり難いタイトルが指す「野生の子」を育てた匂い立ちそうな閉鎖環境、嫉妬と悪意と衝動に、萌え受けしないキャラデザイン。男性製作者優位のアニメ界にあって、ハヤリの向うを張った格好で地味な興行だったけど。生への渇望が主人公たちを突き動かして、監督1作目からのステップアップを確かに受け止めました。

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 製作者が同じドキュメンタリー映画と併せて、表から追いやられた芸術の造詣を深めつつ。演技巧者が、それまでと違う先生像を編み出して。実年齢より幼げに見えるも艶っぽさを秘めていた亡き妻そっくりに春画ウンチクも動員して、若い娘を仕立てようとしたら、目覚めた相手のパッションに煽られて男も抜け出せなくなるという。秘しても決して忌避してならないオトナの生の情熱を、マイフェアレディ風にサラッと見せた愛すべき作品。

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 本編、そして鑑賞後の熱も冷めやらぬ内に世に出ている原作単行本を上京前の仙台編から、映像の後に続くヨーロッパと聖地アメリカ横断編まで読破して。常々、主人公宮本大が口にする「世界一のプレイヤーになる」って、傍からは言葉の上辺のみで受け流すところを、熱い情熱そのままで向き合った者だけが、ジャズメン憧れのひのき舞台で奇跡を「音(カタチ)」に出来得る訳で。思いを信じず、凡庸と過ごして老けた者は、ただその熱に身を焦がすのみ。

�Δ曚�げ
 第二次大戦終戦直後の焼け跡から、弱き存在の女性や子供を守り、手に手を携えて支え合い立ち上がるなんて、まったくの幻想、勘違い。何とか崩れ落ちるのを留まるあばら屋の畳から地続きに広がる戦禍の荒地に、大人達は、傷や過去に引きずられて生きながらえている。そんな守るべき者達が、情熱や繋がりを築けない世界で、子供に何が理解できるのか。孤児に扮した塚尾君の真っ直ぐな瞳が、そうスクリーンから問うのだった。

�ゥ▲鵐澄璽�レント
 相手の事を「わかった」前提で、周囲との関係を受け入れて来たのに。実は、思った人物像とは違っていたり、共通の過去があるのにその気遣いから距離を置かれたり。歳を重ねてもままならぬ他者との繋がり。いかがわしい探偵リリーフランキーさんからの、生きてゆくうえでの「問い」からもたげる不安を、街の仙人的おじいちゃんの康すおんさんの「ひと言」が、晴らしてくれる。

��PERFECT DAYS
 ドイツの巨匠が手掛けたのに、異国文化や機微への造詣の深さと主演男優と初めての顔合わせとは思えぬ調和のお陰で、極東の都市部の片隅で送られる日々の営みが、錯誤無く描かれているうえに、居住国に関係なく、本作を見る者は、中高年男性のその完全独立した独り生活と、他者との繋がりから露わになる光と影に感じ入るのは間違いない。

��正欲
 正にその人たらしめる、「そうありたい」という欲が、他人には相容れられない事が判っている故に孤立する人達と、「こうあるべき」の判断基準に囚われ、選別を重ねることで溝を生じて孤立を深化させる者。行き違って重ならない筈の人達が、ある事件を機に互いの「違い」を浮き彫りにして、本当に「冷たい孤独」を生きざるを得ない者を照射する構図を見せるまで、終始釘付けでした。

��愛にイナズマ
 映画界を例えにしていますが、社会に出て大志を成すには目上の者の言動に振り回されても耐えねばならないし。ましてや、コロナ禍の生活ルールや政策による対立やら悪用が、はびこって。10年間、それまでバラバラだったのにイナズマの如き感情の閃きが走るや、先の世間に漂う「許しがたい雰囲気」に対して、家族全員が揃って怒りの感情を向けたあの瞬間が、爽快でした。

�,擦�いのおきく
 時代が進んで、「職業に貴賤は無くなった」ハズではあるが。江戸時代が背景の本作で、「肥買い」を生業にして日々暮らす男同様、決して望んでいない仕事に仕方なくついて、見えない先行きや将来だとか社会に不安が付きまとうのは、今も変わらず。それでも、心に想う人が居るというのは、見える「せかい」を変えてくれる。声を無くした黒木華さんが、感情は高ぶっても彼女に伝えるすべが浮かばず、無力感からか膝をついて冷たい地面を叩いて泣く寛一郎さんの手をとって見つめて。その二人を収めた白黒のショットに、撃ち抜かれました。

【オマケ】
普通に、特に心に留まったキャストスタッフへの敬意と感謝を込めた勝手に各賞
・監督賞 石井裕也さん(「愛にイナズマ」)
・主演男優 内野聖陽さん(「春画先生」世の中が、社会派でなく洒脱なものが軽んじら
            れやすい傾向なので、特に推す。)
・主演女優 黒木華さん(「せかいのおきく」元武家の娘の長屋生活の合わなさ加減の可
            笑しさから、声を失った後の自分の「気持ち」に気づいた時の
            「独り照れ」の年甲斐もない可愛らしさ。勿論、名場面での菩
            薩の様な慈悲深さも)
・助演男優賞若しくは、役の大小にかかわらず幾多の現場を持ちまわる多忙さへの労い
 複数名  佐藤浩市さん(「せかいのおきく」、「愛にイナズマ」、「春に散る」)
  池松壮亮さん(「せかいのおきく」、「愛にイナズマ」、「白と黒の黒鍵の間
            に」、「シン・仮面ライダー」)
   窪田正孝さん(「愛にイナズマ」、「春に散る」)
      磯村勇斗さん(「正欲」、「波紋」、「最後まで行く」 去年とか前に撮った
のもあるのだろうけど、地元市役所のイベントとかで凱旋され
ていて。お体に気をつけて今後もお励み下さい。極力見ますの
で。)
          
作品数(自分が見ていないのも、総て制覇している筈の池松さん以外数本ある
筈)を、ただ、仕事としてこなす以外にも、役に必要なスキルを積んだり、中に
は体力・気力を要したりした作品もあって、その奮迅ぶりは称えるしかござい
ま せん。

・助演女優賞 石川さゆりさん(「PERFECT DAYS」 まあ、「一芸」起用ですし、こう
いう括りで上げて良いのかってフシもありつつ。ママ
              直々に、常連客のギターにのせて「朝日のあたる家」を聴
              かせてくれるスナックがあるなら、一度行ってみたいで
す。)
       「正欲」の新垣結衣さん勤務のモールの同じフロアで働く方(役名、演者名
を失念してしまったけれど。「可哀そうと思って声掛けし
ているのに、その態度はなんだ」って、逆ギレに戦慄させ
られました。)
      MEGUMIさん(「愛にイナズマ」 プロデューサー役で、三浦貴大さん扮す
る助監督とのコンビネーションから繰り出す、新人監督松岡
さんからの相談やり過ごしからの終いには企画取上げの業界
悪は、居そうでリアリティ高かったな。)

撮影賞 笠松 則通(「せかいのおきく」 白黒の色彩の美しさよ)
    塚本晋也(「ほかげ」 趣里さんの営む、飲み屋の狭い敷地内での、監督自らカ
メラを手に取って演者を追ったその運動量に対して)

音楽賞 上原ひとみ(「BlueGiant」 ソーブルーのステージに賭けた、三人の
情熱を、よくぞ「音」に変換して頂きました。作品の原動力です。)

気になった小道具、衣装
・独り身の食卓箱  「せかいのおきく」 長屋の住人のひとりに扮していた石橋蓮司さ
んが、食卓に使っていた箱。一汁、一菜の質素な食事に使った食
器を、食べ終わるやそのまま仕舞えて、狭い住まいには重宝な家
財道具。

・父や兄二人の赤いポロシャツや赤いカーディガンのコーディネイト服 「愛にイナズ
マ」自主制作時から、映像に赤いモノを取り入れるのが作り手とし
ての「癖」である、彼らの肉親である松岡茉優さんに言われて、
渋々着用させられたうえ自主映画製作に駆り出されるのだが。話も
進んで、父の隠し事も判明してくると、着用もまんざらでもなかっ
たのが判る。皆、似合っていました。

・水色のブーメランパンツ 「春画先生」 柄本佑さんのうさん臭さが、その僅かな面積
の部分でしか隠しきれてないのを、目に眩し
い色彩を放って示していた。

 くだらないので、この位にしておきます。今年も、皆様に良い映画との出会いが御座いますように。拝読、ありがとうございました。

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