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2022年06月19日22:16

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「トップガン マーヴェリック」〜それぞれの旅路を経てたどり着いた、今この時の劇場。スクリーンの向う側とこちら側から共鳴しあうアンセム。〜

続編リリースの常識的スパンを、遥かに上回る年月を経てお目見えの本作。

遥か昔の80年代を、ノスタルジーで振り返えられる客層に限定されたものでなく、当然、全世代年齢性別問わず、本作の門戸は開かれている。

先ず何より、戦闘機パイロットによる、空駆ける活劇として、技術の粋に、演者たちの覚悟と肉体的献身のお陰で、現在の段階で、映像表現に於いて肩を並べる作品は、なかなか思いつかない。

前作から36年と云う長きに渡る月日がもたらした顕著な変化は、何と言っても、デジタルに拠る撮影機材の軽量化で、狭所でも据え付け出来て、作品で見せられる「視界」の制約が当時よりも飛躍的に広がった事。

そして、その長きに渡る期間は、当時若手有望株として世に出た一人の俳優の中で、スターで居続けるための資質と責務を、十二分に醸成させて。自らも率先し共演の若手俳優たちと共に、役である戦闘機パイロットのフリではなく、なり切って実機のコクピットからの眺望の中での演技を課せるなど、作品のイニシアチブを握れる立場だからこそ可能だし、全世界が、彼の作品を待ち望んでいるからこその英断。

待たせた月日は、続編にとって「好材料」と転じ、出来上がった映像は革新的で、臨場感や、リアリティで、他が太刀打ちできないものになって当然。今様の画面が大きなフォーマットを前提とした撮影を行っているので、そちらの方が、より、意図された迫力を体感できます。

そういった視覚面はもちろん、見せ場となる「戦闘機ミッション」を、訓練として行程を繰り返しみせて、困難さを刷り込ませる一方、パイロット間の軋轢に、チームとしての習熟具合を織り込み、クライマックスでの遂行へと流れ込む、見せ場の大元となる幹が通っていて、スカッと溜飲が下がる展開で、初見でも、第一級のエンタテインメント作品として、保証されている。

ここまでは、出来るだけ端的に一本の作品としての見どころを述べさせて貰いましたが、その中で引き合いに出した、続編リリースまでの36年の長きに渡る月日と云うのは、この時代に相応しい作品へのブラッシュアップに活かす為の技術や創作的恩恵に留まらず、他の大作続編には、絶対に持ち得なかった映画の送り手と観客側が、互いに引き付け合う「磁場」みたいな、それぞれに抗しがたい引力が、ため込まれていたのです。

続編であるから、タイトルロールの人物はもちろん、久方ぶりに顔を見せる者も居れば、回想で触れられる者ら前作から引き続いての脇役に、初お目見えの若輩者たち。役の上では勿論、実際の俳優としての本作までの「歩み」をひっくるめて、観客側には、当然、その方達とは繋がりなんか無いけれど、この長い間、生きていたら何かしら各々に「出来事」は有った訳で。

それが、スクリーンの中と、客席のこっち側と世界は別とはいえ、上映されているまさに、今この時を共にしている「実感」が、満ちて来るなんて、本作でなければ得られない。これは、画面の大きさだとか、劇場設備の違いに関係ありません。前作を知らない、この映画のトップガン生徒と同じ世代でも、教官となる伝説のパイロットとの間のドラマから、何となく伝わるのではないかなと。

本シリーズ特有の魔力が醸成されたのは、まず、観客側からの「続編を求める声」が絶えなかったのもあるけれど、何と言っても、「座長」トム・クルーズさんに尽きる。自身の役者としての「芸術的評価」なんかには目もくれず、36年間ずうっと、第一線のトップスターであり続けているのですから。それも、栄誉に安住せず、観客が望んでいるものを提供しようと、名声がもたらす「力」を作品につぎ込み続けて、更にスターとしての「在位期間」を延ばし続けていて。そうして、見る人が望む作品を、見せる側が実現させてくれるのですから、観客側も、自ずとそれに応える訳でして。

コロナ禍で、映画館で見るという習慣が廃れて行く中、配信ポータルが契約数を延ばし、その数の分、趣味嗜好も細分化して来たけれど。その間、映像体験の尊さを推す作品を劇場に掛けて、映画館に観客を取り戻そうとする働き掛けはありましたが、直ぐの回復とは、ならないですが。

今作で、劇場に出かけて、近頃なかった位の客席に目をやると、さすが、トム様のスターバリューの起爆力は、段違いであることを見せつけられました。観客席に身を置いてこそ、映画を見る醍醐味だと、献身的に、それを伝えてくれるスターが居てくれて。その御威光を有難く感じた事は御座いません。今後の世の中の在り方なんか、全くの不透明ですが、「この人を見るために、切符を買おうという存在は、現れない」と、否定しきれない分、一人のスターを見るために劇場に、見知らぬ者達が視覚体験を共にするなんて、希少な機会なのかも。

前作公開時、巷に散々流れたケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」も、本作の代名詞的ナンバーですが、冒頭掛かる「トップガン・アンセム」って、インストゥルメンタル曲があって。見せる側、見る側の互いの賞賛を送る意味で、特に、今回、胸の内で高らかに響きました。

拙文にお付き合い頂き、ありがとうございました。
シネマサンシャインららぽーと沼津 IMAX劇場にて。

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