今日NHKで、上野動物園の動物の戦時殺処分について取り上げていた。
それで思い出したのだが、ウチの息子が小さいときに、一度だけ童話を読んでやったことがある。
読んだのは、「かわいそうなぞう」という、土家 由岐雄(1904 - 1999)原作の童話で、上野動物園で実際に起きた象の殺処分の話だ。
エチオピアから贈られたというライオンは、毒エサを与えたが吐き出してしまい、1時間半以上苦しんで、最後は槍で心臓を突き刺して殺したそうだ。
象は、毒エサは吐き出して喰わないし、毒薬を注射するには皮膚が厚すぎると言うので餓死させることになり、エサを与えなかった。
それでも、密かにエサを与える人がいたらしい。
最後には、飼育員を見かけると、やせ細った体で必至に立ち上がり、芸を見せてエサを貰おうとする描写が哀れで、読みながら泣いてしまった。
先代の円楽が、「藪入り」で、自分が泣きながら演じていたのを、芸人としては二流だと思っていたのに、自分も、息子への読み聞かせもちゃんとできないと、情けない気持であったが。
動物園の関係者も、各地の動物園に疎開させてもらえないかと必死に生き残る道を探ったが、東京都の長官(知事)であった大達 茂雄(1892 - 1955)が全て潰して殺させた。
この大達 茂雄という人、東条の後を継いだ小磯内閣で内務大臣の要職につき、敗戦後はA級戦犯として巣鴨プリズン入りしたが不起訴。
それでも公職追放になって、日本占領が解けると、1953年4月に第三回参議院議員選挙で島根選挙区から自由党公認で立候補して当選。
5月に発足した第5次吉田内閣で文部大臣になっている。
文部大臣時代にやったことでは、いわゆる教育二法を通したことがあげられる。
公立学校の教員や生徒が政治活動に参加することを禁止する法律。
ネトウヨさんが洗脳教育をしたとして大嫌いな日教組が80%をはるかに超える組織率で、教え子を再び戦場に送るなと闘っていた時代の話だ。
大達 茂雄という人は、滅私奉公を良しとする・・というか、それを信条にして生きていたような人だったんだろうと思う。
吉田内閣総辞職に伴い1954年に文部大臣を辞職し、翌年に勲一等旭日大綬章という、日本では最高の勲章をもらっている。
東京大空襲や原爆投下を行った部隊の指揮官だったCurtis Emerson LeMay(1906 - 1990)が同じ勲章をもらう9年前の話である。
滅私奉公でステレオタイプって、使いやすい臣民なのだろうなと思う。
ただ、殺された象の、、ジョン、ワンリー、トンキーはどんな思いで、彼らに最高の栄誉を与えようとする人間を見ているだろうなとも考える。
大達 茂雄は、やせ細り、立っていることもできないでいる象が、必死に体を起こし、芸をしてエサを貰おうとする姿を見ても、何も感じないのだろうか?
ヤクザの抗争が起こった時、対立する組の組長などの暗殺に使われるヒットマンは、普段はとてもいい家庭人で父親だという。
大達 茂雄も、家父長として理想的な人物になろうとしていたのかもしれないと、想像したりもする。
ログインしてコメントを確認・投稿する