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2015年06月21日23:11

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男も女も関係ない。戦え、駆け抜けろ、生き残れ。〜「マッド・マックス 怒りのデス・ロード」を見て〜

ここ最近「絵空事」で、演者の汗すらも感じられず、見た傍から泡の様に消えて残らないアクションものしか目の当りにしてなかったので、主役からその他大勢までの、心情や痛みが伝わって来るのは久しぶり。

これまで、「ベイブ」や「ハッピーフィート」とか、穏やか家族路線の人と思われがちだった、ジョージ・ミラー監督が、数々の製作危機を乗り越えてまで、結実させた執念の一本は、オーストラリアから世界にその名を轟かせた、代表作の再スタート。核戦争やら世界抗争の末、文明が廃頽し、資源が枯渇して、持つ者の「力」による脅迫だけで統治された荒野で、生き延びる為に繰り広げられる戦いだけの世界。

そう聴くと、無秩序に血が流れて、爆発が起きたりするのが想像されて、しかも、ディストピア世界でのあの恰好ですから、元々そのジャンルが苦手な方でなくとも、腰が引けるかもしれませんが、そこは、ジョージ・ミラー監督の手腕が、思いとどまらせてくれます。世界観はアナーキーでも、極シンプルに、「闘争理由」を設けて、それを原動力にして、地平線まで何の遮りも無い荒野に、一本道を極太に引いてみせて、無駄な喋りや回想とか寄り道も最小限に留めながら、人物の心情を格闘の中に表現されるので、見ているこちらも、グイグイ引っ張られる。大型のタンクローリーを追っかける、獰猛な追跡者。そう、駅馬車を追っかける、インディアンとの攻防を描いた西部劇からの活劇の応用形です。

表向きは、シリーズ4作目と云う事ですが、一見さんも全く問題ありません。
初代マックスのメル・ギブソンが、警官時代、暴走族に妻子を殺されて、皮ジャンに身を包み、ライフルの銃身を詰めたショットガンを手にして、愛車�坑献ぅ鵐拭璽札廛拭爾望茲辰董∨汁�族への復讐を果たして終わるのが1作目。全世界抗争後の無秩序な荒野を、妻子を守れなかった心障を抱えながら彷徨っていたところ、行きがかりで力無き者達を庇護する事で、伝説の英雄となる2作目。特に、この2作目のマックスや支配者のいで立ちや、物資が乏しい設定に沿って、廃車を寄せ集めて作りあわせた改造車の外見と、それらを使ったアクションの影響力はハンパでは、ありませんでした。

そのマックスが、2代目トム・ハーディとなり、物語も2作目の世界のやり直しと云ったところで、皮ジャン、ショットガン、インターセプターの三種の神器も、引き継がれています。が、「ダークナイト ライジング」での役柄も引っ張ったのか、直ぐに、金属製の猿ぐつわをされて、ボロ布をまとわされるので、暫くは、伝説の英雄の風貌が台無しです。

本作も、流行のリブートなのですけど、そこには、時の流れを経て、新たに加えられたものが在ります。支配者の風貌が、前はマッチョな白人然だったのが、大ボスを除いて、下層兵隊たちが、「山海塾」みたいに白塗りにされて、人種が隠されたうえに、教義や領主の為に命を落とす事で、神格化されるとか、昨今のテロを匂わせている。そして前三作まで、語弊が在るかもしれないけど、「お飾り」的だった女性の扱いが、マックスと対等になっている事です。大首領からの信頼も厚く、「大任」を仰せつかった、女戦士フュリオサが、大首領の側室たちを密かに連れ出して、荒野の海を泳ぐ鯨の様なタンクローリーを運転し、追跡者共を冷静に薙ぎ払って、「目的の地」へ爆走してゆく。そんな、役どころをオスカー女優のシャーリーズ・セロンが、頭を丸めて、顔は黒塗りで、しかも、左腕が義手になっていて。美貌をかなぐり捨てて、荒野で体を張っています。

人は、「生存欲」として、欠けた存在を求め合うとも言います。ことに、生きるか死ぬかとなると欲も強くなるとか。でも、この世界、車を停めたら、追手が直ぐにやって来ます。なので、マックスとフュリオサが、都合よくイイ仲になったりしません。お互い素性を知らないまま、戦いの渦中で顔を合わせて、行きがかりで行動を共にして行くのですが、実力を認め合うと、窮地で「連携」を取る見せ場も有ります。それでも、マックスは彼女に名前すら明かしません。彼女には、どうしても「目的の地」を目指す理由が在って、側室たちを鼓舞し、追いすがる暴徒を蹴散らしながら、大型車を転がす。マックスはと言うと、元々は「内部抗争」に巻き込まれたテイなので、やり過ごすに越したことは無いと、消極姿勢なる故、シャーリー様の活躍が目立ちますので、女性目線でも楽しめます。

そんな、流れの中、彼女のモチベーションが下がりかけた時に、マックスが彼女に「希望は持つものじゃないな。心が折れて残るのは狂気だけだ」と声を掛けたところで、虐げられてきた者達の、反逆への「推進力」に火が再び入って、無謀な戦いに身を投じてゆくのだった。この辺の、作品の呼吸が、「ワイスピ」とか、あり得ない見世物映画には無いところ。

相変わらず、改造車のディテールは、こだわっています。また、1作目2作目で、スタントマンが何人か、マズい事になったとか、云われていたけど、今回も、一瞬目を覆いそうになる、ギリギリのスタントが、幾つも有ったし、見せ場で、運動会の棒倒しみたいなしなる棒に、つかまりながら、追手が頭上から、しかも、車で走りながらで、追っかけられる方も、厄介この上なくて。息を付かせません。

その上、カメラの色調は芸術的で、追走劇の荒野と改造車の群れ、追跡に現れる砂嵐と、狂気の彩りは美しく映えています。敵同士が鎖に繋がれての、立ち回りとか、活劇のアイデアは冴えて、側室たちが窮地を救う捨て身の行動とか、抗争の中での人物の心情の移ろいがまた、見せ場に直結していて、見ているこちらも2時間彼らと、無法の地を生き抜いた実感が残りました。

コレでも、余計な事は捨てて書いたのですけど。お目通し有難うございます。

シネプラザ サントムーン シアター2にて 2D/字幕版

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