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2023年08月13日08:21

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風林火山伝 第2部 第50話 信長の遺骨探し その4

石田佐吉は北の洞窟、雨が空から降っている絵が描かれている布の方向を指さしながら
言った。
「久秀様、日承上人様、出口はこちらでございます。」
「佐吉よ!お主は雨の絵の出口を選ぶ根拠は何にぞよ!」と久秀は吠えながら言った。
「久秀様、この書状は信長の正室、帰蝶により書かれたものにございます。」
「そういえば、紀長はきちょうと読めるな?なぜ帰蝶だと分かったのか?」
「直感でございます。筆跡からして男により書かれたものではなく、女により書かれたものにございます。書状の内容ですが、『それぞれの絵には意味がある。文武を重んじ家臣を大切にせよ。』の言葉にまずは着目しました。そして、それぞれの絵を文字にしてみました。武士が公家に従う絵は「公武」、昆布の絵は「昆布」、この隠し部屋の絵は「地下」、
雨が空から降っている絵は「雨天」という文字で表わすことができます。」
「これらの文字がどうしたというのだ。」
「次に『家臣を大切にせよ。』とあります。それぞれの文字は二つの漢字で表わせますので、下の漢字の文字に着目しました。そうすると「武」、「布」、「下」、「天」となります。そうして、この四文字を並び替えると「天下布武」という言葉となり、「天下布武」は信長の意志であり、この謎解きは正しいことが証明されます。最後に『天子様を敬え。』ということは、天を選べということでしょう。すなわち雨が空から降っている絵が描いてある布の洞窟を選べということになります。」
「うーむ。なるほど、佐吉の言う通りだな。佐吉の推理力には恐れ言った。」と久秀は佐吉を大いに褒めた。
「それにしても、帰蝶殿はよくこのような仕掛けを思いついたものよのう。遺骨探しをするものに対する挑戦としか思えんな。」と日承上人は首をかしげながら言った。
「さあ、久秀様、日承上人様、拙者を信じて、この洞窟を進みましょう。さもないと、
南側の洞窟で燃えている炎の煙がこの部屋に充満し、私たちはその煙に巻き込まれ窒息死してしまいます。」
「佐吉、頼んだぞ。急ぎ、この洞窟に逃げ込むのだ。」と久秀が言った。

そして、佐吉が先頭で松明を持ち、その後に久秀、日承上人が続き、洞窟の中を突き進んでいった。洞窟は果てしなく続いているように見えたが、しばらく進むと前方に光が見えてきたのであった。

一方、時を同じくして、武田信玄のもとに一通の書状が届いたのであった。

                                   つづく


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