ここ壱ヵ月ほど、市井の人たちに混じってアルバイトに従事した。
朝早く家を出て、渋滞に巻き込まれ、といふのを25年以上ぶりに経験した。
「あ〜〜〜、このかんぢよな」
となんども思った。
昔このやうに、日中バイトをやり、夜はライヴかリハ、といふ暮らしをしてゐた頃・・・。
近いうちに俺は陽の当たるところに出て、華々しいライトを浴びるのだ、と思って暮らしてゐた頃、
なんどか仕事をサボった事がある。
家は出る。
バイクなり、自転車なり、で家を出て、あ〜良い天気だな、とか思ひながら信号待ちをしてゐると、フとハンドルを逆方向に切ってしまひ、そのまま放浪に出た、みたいな事もあった。
こんなにあっさりヒトは自堕落になるのだな、と思った。
ワシは学生時代に授業をサボったことはない。
ただ一度だけ、高校時代に一緒に登校してゐた友人が、のっぴきならぬ事件に巻き込まれ、付き合いでサボってしまった、といふ事があるだけだ。
そんなワシが、日々の糧を得る仕事を、「天気が良いから」といふ理由でサボれるとは、驚きであった。
ニンゲンは、案外あっさりと、重要な事をやめる事ができる。
ワシは一時期、音楽をやめてゐた事があるが、あの時、本当に簡単にギターも何も弾かなくなった自分に、心底驚いた。
「こんなものなのか」と思った。
やめられぬのは、習い癖の習慣なのだ。
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