映画のカテゴリィに「サメ映画」といふものがある。
こ れ が
単なるサメが人を喰ふ話、ならまだ良いのだが、それ以外の話の荒唐無稽さが、もぅ完全にイッてしまってゐる。
映像もシャレてるのが多いぞ。
昨今、コムピュータ・グラフィクスの発展のおかげで「撮れない画などない」と云はれる。
映像化が不可能なものはなくなった、と云はれる映画界のなかにあって、このサメ映画のほとんどが、もぅ「専門学校の生徒の卒業制作レヴェル」よりチャチぃ、CGと呼ぶにも憚られる陳腐な映像に彩られ、まぁそここそがこのジャンルのマニアにはグっと来る訳で、さう、このサメ映画、ぢつに意外なほどファン(マニア)が多いのだ。
こないだたはむれに見た壱本はなかなかイってゐたな。
西海岸沖に巨大な竜巻が発生し、その竜巻に大量のサメが巻き上げられ、街にばんばか降って来るのだ。
んで、そのサメは高高度から落ちて来たといふのに、一匹も 死にも潰れたりもせず、元気に人々を襲う。空を飛んで人を襲う。道路を走って人を追っかけて来る。増水した川を遡って山の上にまで攻めて来る。
こいつぁパニックだ!。
途中から、笑いなしに見ることはできなくなったが、確かに「かういふものだ」と思って見るならば楽しめないことはない、といふジャンルではある。
でも、千歩譲ったってサメは鳴かんから、それだけは
しかしこの歪んだ「サメ映画(優劣問わず、中には優れたものもある)」の、すべての根元には、やはりあの「ジョーズ」があるのだ、と思ふと、スピルバーグの天才ぶりを認識せざるを得ない。
あれが封切られた1975年。
世界中で海水浴客が激減した、といふ逸話すらある。
大人も子供も、サメを恐れ、たれもがあのTシャーツを着、あの
「デ デン」
「デ デン」
「デ デ デ デ デ・・」
といふあのテーマを聞くだけで、『ナニかが来る!』といふアイコンになったものは後にも先にもない。
世の中が今よりはるかにシムプルだった、とは云へ、社会現象にまで発展したパニック映画は、あれが初めてであった。
あれからほぼ半世紀。
昨今のサメは、規格外のサイズなのは当たり前、巨人と戦ったり、宇宙に行ったりさえする。足が生えてゐるのすらあるさうな。
怖や怖や。
ログインしてコメントを確認・投稿する