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2018年01月29日17:30

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地球時代の人類学

梅棹忠夫編の「地球時代の人類学」(上)中公文庫 昭和58年刊 を読んだ。梅棹氏が各界の人と会って対談した記録である。かなり古い時代のものだが、今でも通用する考えがある。

和田祐一氏との対談では言語の問題を扱っている。フランス側のバスク語はHを読む。スペイン側は読まない。それで文字の上ではHを書く、しかし発音せんでいい、ということになった。ヨーロッパで悪魔の言語と言われていることばが2つある。一つはバスク語で、もう一つはフィンランド語だ。どっちも非インド・ヨーロッパ語で、ある点で日本語に似ている。日本語と同じ類型のことばは韓国語、モンゴル語などたくさんある。

岩田慶治氏は東南アジアの専門家だ。東南アジアは西アフリカともよく似ている。サハラ砂漠の周辺に遊牧民族がいて、南部のサバンナに森林の中に散らばって住んでいる。ボルネオやインドネシアの島々とよく似ている。東南アジアは、漢文明とインド文明の谷間にあった。

木村重信氏は芸術の問題を語った。言語芸術がもっとも保守的で、絵画・彫刻がもっとも前衛的だ。ゲルニカが抽象的な手法で描かれたからこそ、ゲルニカ爆撃を体験していない日本人やアメリカ人が共感できる。フェスティバル・ホールでアフリカのセネガルの舞踊をやっていたが、迫力のあるものだった。

その他国家の問題、エネルギーの問題、国連大学の問題など多岐にわたって有益な議論を繰り広げている。




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