先日受賞した、沼田真佑さんの「影裏」をいま、読み終えました。
釣りの見事な描写、不穏な友人の言動と行動、東日本大震災の
断片など、いろいろなものやことが、説明を一切省いた
端正な文章でぽつりぽつりと書いていて、一見乾いた印象を受けるのに
不思議と抒情と哀しみが立ち上がってきます。
行間に滲ませた書いてない物語が、文章の背後に広がり
胸を揺らすのです。
改めて小説というのは、いかに書かないか、それが大事なんだと
教えてくれる作品です。
マイノリティの側に寄り添う視点も、僕は好きでした。
いやー、これが一作目とは思えない、文章力です。
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