学生時代、運送会社でバイトしてゐた。
しはすが進み、学校も終わり、郷里に帰って行く学友が多い中で、ワシは大晦日まで勤務する事にしてゐた。
「兄ちゃん、学校終わりやろ?。明日から朝から出てくれんか?」
と云はれ、いぃですよ、と答えた。
だが、年末の運送会社の激務は、若造の予想を遥かに超えてゐた。
各所を周回するトラックが一旦荷物をプールする(プラットフォームと云ふ)スペースは、年末に向けて文字通り林立する段ボールに「埋め尽くされる」のである。
ワシらバイトはただひたすらに、その段ボールをしかるべき法則に従ひ、しかるべき場所に積み替え、下ろし、また積み、を壱日じゅう、ホンマに朝から晩までやる訳だ。
朝、会社に行った時と、帰り時、その風景が全く変わらない。
あんだけ働いたのに、段ボールの山は何一つ変わっていない。
出てっただけ入って来るからだ。
来た時のまんま、に見える。
達成感も何もない。
ナニカが進んでゐるやうには見えない。
明日もたぶんこのままだらう。
寝てゐる間にコビトが仕事してくれる訳はない。
「これ、どーにかなるのか?」と誰しも疑問を抱く。
さういふ日々が、今頃(12月20日前後)から30日あたりまで、続く。
それが年末の運送会社の日々である。
今朝、宅配荷物を届けてくれたあんちゃんの、あまりにバイト然とした風情を見て、
嗚呼しはす、と思ふのである。
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