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2012年07月16日20:29

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ススリンの問題

ススリン(Михаи́л Я́ковлевич Су́слин)の遺稿で提示された全順序集合に関する問題(1920年)。
この問題は標準的な公理的集合論の体系として知られるZFCと独立であることが知られている。すなわち、この問題はZFCの下で証明も反証もされない。

空でない全順序集合Rで、以下の4条件を満たすものが与えられたとする。
1. Rは最小元も最大元も持たない。
2. R上のその順序は稠密である(任意の異なる2元の間に、第3の元が必ず存在する)。
3. R上のその順序は完備である。すなわち、任意の空でない有界な集合は上限と下限を持つ。
4. R上の互いに交わらない空でない開区間の族は、その濃度が高々可算となる(即ち、Rは可算鎖条件を満たす)。
このとき、Rは必ず実数直線Rと順序位相同型となるかどうかを問う。
もし、Rが可算鎖条件を満たすための必要条件が、Rが可算な稠密部分集合を持つ(即ち、Rが可分空間である)ことに置き換えられるなら、Rは実数直線Rに順序位相同型となる。

実数直線Rと同型でないが、上記1.〜4.を満たす全順序集合はススリン線として知られている。構成可能性公理(V=L)の仮定の下ではススリン線は存在する。
ススリンの仮説(SH)とは、ススリン線は存在しない(即ち、可算鎖条件を満たし端点を持たない稠密完備線型順序は、実数直線と同型である)という命題である。
これは、高さω(1)の木は長さω(1)の枝か濃度ω(1)の反鎖を持つ、という命題とも同値である(高さω(1)の木で長さω(1)の枝も濃度ω(1)の反鎖も持たない木をススリン木という)。
一般化されたススリンの仮説(GSH)とは、いかなる無限正則基数κについても高さκの木は必ず長さκの枝か濃度κの反鎖を持つ、という命題である。

SHはZFCと独立で、一般連続体仮説(GCH)、連続体仮説の否定(¬CH)のどちらとも独立である。しかしながら、マーティンの公理(MA)+¬CH からはSHが導かれる。
GCHとGSHが互いに矛盾しないかどうかは分かっていない。

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B9%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%95%8F%E9%A1%8C
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Suslin's_problem

参照(語彙):
全順序集合(最小元、最大元)
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A0%86%E5%BA%8F%E9%9B%86%E5%90%88
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Partially_ordered_set
ZFC(ZFに選択公理を加えた公理系)
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E7%90%86%E7%9A%84%E9%9B%86%E5%90%88%E8%AB%96
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Zermelo–Fraenkel_set_theory
完備
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%8C%E5%82%99%E8%B7%9D%E9%9B%A2%E7%A9%BA%E9%96%93
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Complete_metric_space
可算鎖条件
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%AF%E7%AE%97%E9%8E%96%E6%9D%A1%E4%BB%B6
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Countable_chain_condition
実数直線
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Real_line
可分空間
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%AF%E5%88%86%E7%A9%BA%E9%96%93
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Separable_space
構成可能性公理(V=L)
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Axiom_of_constructibility
反鎖
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Antichain

ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%A8_(%E6%95%B0%E5%AD%A6)
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Tree_(graph_theory)
マーティンの公理(ZFCと独立な命題)
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%81%AE%E5%85%AC%E7%90%86
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Martin's_axiom

参照(関連サイト);
構成可能集合
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A7%8B%E6%88%90%E5%8F%AF%E8%83%BD%E9%9B%86%E5%90%88
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Constructible_universe
決定性公理(選択公理と相容れない)
ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%BA%E5%AE%9A%E6%80%A7%E5%85%AC%E7%90%86
ttp://en.wikipedia.org/wiki/Axiom_of_determinacy

参照(過去の日記):
連続体仮説
ttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=692020016&owner_id=14882521
稠密
ttp://mixi.jp/view_diary.pl?id=980987980&owner_id=14882521
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