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日記一覧

 先日、北の丸公園の隣りにある昭和館で催された半藤一利展に行った。靖国神社と九段会館(旧称軍人会館)の間に位置するからか、どこか先入観があったが、昭和館は戦中戦後の「国民」の生活の労苦を伝えていくことに力点が置かれていた。『この世界の片隅に

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 災害対応の部署に移動して行動の制約がかかって、遠出や山登りができなくなったので、こうした季節毎の山々の写真を眺めると心の慰めになる。大きな公園も近くにはあるものの、やはり人工的に整えられたものと、自然の造形との差は大きい。人間や街の中に自

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 宇宙論、科学技術社会論を専門とする著者が、文学と天文学の架け橋、文系知と理系知との融合を目指した野心的な書物。表題にもあるように、「星はすばる。」で有名な枕草子の星づくしから始まるが、動物や植物もふんだんに採り上げられており、まさに「新し

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 先日、東京国立博物館の古代メキシコ展に行って、馴染みのあるアジアやヨーロッパとは異なる独自の世界観に惹きつけられた。 古代メキシコのうち、古代マヤ文明に焦点を当てた本書も、石造りのピラミッドや生贄の儀式など独特な文化に満ちている。特に、ト

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 愛する者を喪った悲しみが、時に変奏しつつ、著者のどの作品にも貫いている。そうした人生の暗がりを照らしたのが、ことばであった。一度深い闇に触れた者は、一層生の輝きを、生きることの本質をつかむことができるのかもしれない。 例えば、大学に勤めて

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 生活、文化、美、信仰、自然といった多様な視点からアイヌの人びとの暮らしがコンパクトにまとめられている。松浦武四郎の『蝦夷漫画』などの絵図が豊富なのでイメージを持ちやすい。 面白かったのはアイヌの暦。一年を十二ヶ月で区切る点は同じだけれど、

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 漱石、子規、鴎外、一葉、鏡花、藤村、実篤など、綺羅星のような数多の作家達が、東京という場所で作品を紡いだことが分かる。 『たけくらべ』の見返り柳のように、微かに往時の面影を残す場所も見られるものの、今は碑文などでしかその存在を知り得ない場

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 丸谷才一さんのエッセイは、肩肘張らずに読める軽みが最大の魅力だろう。紹介される雑学は、おそらく仕事や生活上役立つことはないけれど、読むと楽しい心持ちになってくる。 例えば、昭和のはじめに作られた「全国うまい物番付」など、見ているだけでお腹

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 残照を浴びた雪の剣岳、槍ヶ岳を背に咲く可憐なコマクサ、霧が立ち込める夏の朝の燕岳の幻想、秋の涸沢のまばゆい錦繍ー。この写真集には北アルプスの多彩な表情が収められているが、中でも雪山の写真が多い印象を受けた。あらゆるものを峻拒するかのように

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