mixiユーザー(id:2716109)

日記一覧

 講義録というものは、その時の教室の息づかいや一体感などをそっくり閉じ込めたタイムカプセルのように思える。 翻訳者の柴田元幸、哲学者の野矢茂樹、近世日本文学者のロバート・キャンベルなど、豪華な布陣によるオムニバス講義。 翻訳者は「作者代理」

続きを読む

 「我々はどこからきてどこへいくのか」  この永遠の問いの手がかりを求め、また生命誕生以来、地球の他に仲間を知らない「四十億年の孤独」に終止符を打つため、宇宙探査が行われてきた。 銀河系にある惑星の数は約一千億。そのうち太陽系の8つの惑星に

続きを読む

 古の人々は、天体の知識は乏しかったかもしれないが、星の輝きを際立たせる漆黒の闇に包まれ、常に灯りに照らされた現代の我々よりも、星との距離は近かったのかもしれない。  本書は、詩歌や随筆、伝承、小説等において、古代から現代に至るまで日本人が

続きを読む

 遠い昔、初めて自分で買って読んだ本は、椎名誠の『岳物語』だった。わんぱく盛りの岳少年と父である著者との軽やかでいて、少々の切なさもはらんだ交流、一度きりのかけがえのない時間を描くこの本に最初に出会ったおかげで、本が好きになったように思える

続きを読む

 一生かかっても読みきれないような無数の書物の中、時の洗礼を経て遺った「古典」は、砂金のようなきらめきを帯びる。  火山学者の著者が選んだ50冊の古典。理系と文系の垣根を軽やかに飛び越え、古今東西の人文書が中心に並ぶ。プラトンからマクルーハン

続きを読む

 コップに少しずつ注がれる清水がある時あふれ落ちるように、人はものを書きたくなるのかもしれない。「その時」がいつ訪れるかは人によって様々で、多くの人にはそのような時は来ないのかもしれない。 著者は50歳を過ぎてから、堰を切ったかのように随筆を

続きを読む

 ある作家が、「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います」と言っていたように、小説は自身が一生の中で経験できない出来事を経験させてくれる。その出来事は必ずしもよいものばかりではなく、つらい出来事なども含まれ

続きを読む

 ある時浮かんだ気持ちを、短歌という定型の枠に注ぎ込むことで、それは永遠のものとして固定される。 本書は幼子の子育ての際に生じた心の揺れを、共感できる平易な言葉で鮮やかに掴み取っている。日々子供の成長する様子を感じる嬉しさや、ひとつのかけが

続きを読む