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2007年10月13日05:52

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語り残されたお話の素材2

<最果ての森>

 エルリア大陸の西北に広がる神秘的な力を持つ古い森。

 かつてこの森の中にあった小さな王国の姫がこよなく愛した森であり、森はそれに応え癒しと加護を与えるに至った。
 姫が白髪の乙女の牙にかかり転化したことにより、その神秘的な絆はいっそう強化されたのみならず、姫の身の放つ妖気により森は集合的な意識に目覚め、姫と意志の疎通を交わすことができるまでになった。
 吸血鬼と化した姫が棲む森には人間が近づけなくなったため、森の発揮する植物の侵略の力を阻む者はなくなりその勢力はじわじわと拡大を続け1000年もの歳月の中で多くの村や国々までもが緑の闇に呑まれ滅びるに至った。

 緑の闇に生き森から離れることのできない姫は拡大する森が近づいた人里を襲うことができるのみであり、めったに近づく者もない森に暮らすため人間に出会う機会はほとんどない。しかし、いまや魔力と化した森の加護と癒しの力は吸血鬼の渇きの苦しみから姫を守り、姫はなかば意識が麻痺したような状態で深く広大な緑の闇の中をさまよい歩いている。
 姫に害をなそうとする者に森は直接攻撃を加えるまでには至らないが、物理的な攻撃に対しては枝や幹がこれを阻み、魔力に対してはこれを遮ろうとする。そしていざとなれば姫の身を森の任意の場所に転移させ逃れさせることもできる。

 森の加護の力は吸血鬼の妖気によって変質したものなので、解呪の技により破ることができる。しかし、森の加護の力を破り姫を解呪するには2人以上の術者がそれぞれ森と姫に対する必要がある。しかも森の加護の力を破ることは渇きの苦しみを癒す力を絶つことでもあり、姫を激しい渇きに落とす事態を免れない。


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