この監督さんの「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」(2016)を、僕は中身のない映画だとバッサリこき下ろしました。しかし今回は、幼い姉弟のいたいけな姿にまんまと乗せられてしまいました。はい、そういう映画がお好みの方は新しいハンカチを用意してご覧ください。僕がまんまと乗せられたんだから、きっと満足しますよ。
物語は、小児性愛者たちの毒牙にかかる幼い子供たちの話です。中米ホンジュラスで、可愛い子供たちを集めてオーディションをして、子役スターとして売り出そうと持ちかけられた父親は、まんまと子供たちを拐われてしまうのでした。そしてその事件を知った国土安全保障省の捜査官ティム(ジム・カヴィーゼル)は、子供たちを救おうとするのでした。
ティムは妻キャサリン(ミラ・ソルヴィーノ、写真2。久しぶり!)と子宝に恵まれていますが、目の前の不幸を知って自らの危険を顧みず、小児誘拐カルテルの壊滅に力を入れます。なにしろ子供たちの大半は、アメリカ合衆国の富豪たちのもとに“買われて”くるもので、アメリカ側の役人として許せない。
ティムは、ヒューマン・トラフィックの世界にどっぷりと浸かりながら、なんとか子供たちを救い出そうとしているヴァンピロ(ビル・キャンプ、写真3)と手を組んで、上司たちを説得しながら危険な誘拐カルテル壊滅の任に就くのでした。危険な任務なのに、夫ティムを現地へ送り出す気丈な妻キャサリン、えらいなぁ。
僕は、冒頭でタレント・オーディションだと騙されて誘拐される姉弟の、情感あふれる爽やかさに、まさに“まんまと”乗せられました。「リトル・ボーイ 小さなボクと戦争」では全く乗らなかったけど、今回の子供たちには参りました。ちょうど「シベールの日曜日」を見直したあとだったので、あの“奇跡的な少女”パトリシア・ゴッジにつながる。
よく「シベールの日曜日」のことを“小児性愛”がテーマだと間違える方がいますが(その方向に意図的に間違えたい人もいるでしょうけど)、あのヴィル・ダヴレ村の日曜日は、純粋に可愛い盛りの少女の奇跡的な日曜日だったのです。セルジュ・ブールギニヨン監督でさえ、そこまで昇華し切った実感はなかったかも。
今回の姉弟のけなげな姿は、「シベールの日曜日」以来の感激でした。これが“ロリータ趣味だ”なんて誰にも言わせない。←そもそもロリータは、年齢は若くても大人そのものなのですし。←パトリシア・ゴッジは、12歳くらいの素直な少女であって、インドシナ戦線で負傷したハーディ・クリューガーを、母のように包み込むのです。
ただ今回の「サウンド・オブ・フリーダム」が残念だったのは、ラスト20分にジム・カヴィーゼルがスーパーヒーロー並みに活躍してしまうことでした。同時期にトム・クルーズが大活躍したシリーズ物があったからって、そっちに寄せていく制作方針は間違ってますぜ。そもそも僕は、この主役俳優なんか顔すら覚えていない。
ということで、この「自由の響き」は、「サウンド・オブ・フリーダム」として記憶しておきます。「サウンド・オブ・ミュージック」が「音楽の響き」という仮題で案内された60年前の出来事を思い出して。とりあえず「私たちは、ちょうどいい。」などという、テキトーな邦題で封切る映画が多いから、カタカナそのままで僕はOKにしたい。
そうは言うけど、上映時間2時間11分は長すぎるな。エンド・クレジットが10分以上あるのも頂けない。ま、“ご協力感謝”の人名がずらりと並ぶところは、早送りしてしまいましたけどね。それとMPAAナンバーを確認したかったのにエンド・タイトルになかった。なんでやねん!
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