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2024年01月10日04:50

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シアタールームで「ウエスト・サイド」の「新旧見比べ編集版」を鑑賞しました。やはりスクリーン映写すると、“映画”らしくて楽しい。

年末にスターチャンネルで、「ウエスト・サイド物語」(1961)と「ウエスト・サイド・ストーリー」(2021)を連続放送してくれたので、そこからミュージカル・ナンバーだけ抜き出して編集しました。それをシアタールームにひとり籠もって、大音響で満喫。実にゴージャスな“お遊び”ですわ。

「ウエスト・サイド物語」(1961)は2時間32分、ウエスト・サイド・ストーリー」(2021)は2時間36分あります。それを旧作の曲順で、ミュージカルナンバーだけを抜き出し、それぞれ新旧のナンバーを対にして並べました。ということで、新作には“不利”な編集だと言えます。しかし、僕にとっては曲順は旧作以外に考えられない。それが嫌ならリメイクするな、とスピ公に伝えてください(笑)。

まず“プロローグ”から、シュランク刑事が登場するまで。なんといっても、ソウル・バスがデザインした縦線イラストにかぶさる序曲が、新作にはないという失望感が大きい。そして見も知らない若者たちがジェッツだシャークスだと右往左往しても、全くピンとこない。また旧作の画面比率が70ミリ版に近い1:2.2程度だということと、新作がスコープサイズ(1:2.35)程度だったことも、70ミリ版の夢を追う僕の“旧作びいき”を増幅しました。

しかしながら旧作には、音質的に問題があります。高域が歪っぽく、耳に刺さる感じがする。それに対して新作は、さすがに音圧などが快適でした。何よりも、ミュージカル・ナンバーについてはLPが擦り切れるほど聴き直したわけで、本編だって20回以上は見ていますから、LPの“編集部分”まで覚えています。

だから新作が旧作と違う表現をしていたら、違和感が甚だしい。たとえば“プロローグ”でジェット団の連中が歩き始める場面、子供が地面に書いているチョークの落書きを避けて歩くのに、新作では無惨に消してしまう。その前にプエルトリカンらしき婦人たちに道を譲るシーンを加えている“嫌らしさ”共々、“なんじゃこれは!”でした。

そもそも壁に大書きされたプエルトリコの国旗を、ジェット団が総掛かりでペンキで消すという行為は、あまりにも安易な描写だと僕は思う。このあと、これ式の安易な説明描写が連続するので、怒り心頭なのです。もしスピ公が“それは勘弁”と言うのなら、そもそもリメイクしなければいいのだ。

とにかく僕は、新作は2度め(編集した時間は別にしてます)なので、今なお誰がリフで誰がアクションなのかAラブなのか、全くわかりません。エニボディズだってピンとこない。それを言い出したら、ベルナルドだってマリアだって知らん顔ですわ。もっとも旧作でさえ、僕はジェット団の11人を並べて役名と俳優名を言い当てられませんけど。

結局、3時間と44秒あるのですが、2時間位まではすんなり見ていられます。いろいろ新作には不満なのですが、少なくともダンスについては僕の目を楽しませてくれました。最近の振り付けとダンサーの踊りの切れ味は、やはり見事なものです。それはちょうど、プロ野球が進化したのと同じ。かつては唸っていた豪速球が、今では普通になっている訳です。←これは「球辞苑」を数回見ればわかります。

それでも旧作がいいと僕が主張するのは、僕自身の人生に刷り込まれているから。それがない人には、僕の言葉は老人の血迷いにしか感じられないかも。それでええんです。芸術とは、誰かが感じた感情や印象を、鑑賞者に伝えるものです(byトルストイ)から、体験が違う鑑賞者にはそれぞれの体験に合った感情や印象が生まれる。だからこそ、鑑賞後の意見交換が楽しいし、それぞれを進化させるのです。

ということで、“体育館のダンス”に至る旧作の幻想的なオーバーラップを排し、単なるカットつなぎで体育館へと乗り込むのは、とりあえずジェット団たちのダイナミックな踊りで“見逃してやる”気になりました。もともとあの赤いオーバーラップは“古風”だから好きではないのです。←舞台ではカラーのテープが大量に降り注ぎ、それが巻き上がると体育館でした。←宝塚版にて確認。

グラッドハンドもクラプキ巡査も同じように登場するのですが、新旧ともども無視しましょう(笑)とは言うものの、“クラプキ巡査への悪口”については新作からカットしたい。署内をあれだけ荒らしたら、48時間の拘禁だけでは済まないはず。そしてまた“同室”の娼婦らしき女性は何のために出した?

結局、この見比べ版については、実際に見ていただくのがいちばんですが、僕のような年寄に3時間一気見はつらい。我慢を重ねた結果、一時停止してトイレへ向かいました。その時間が旧作終了タイムと同じ2時間32分だったのは、まったくの偶然です(笑)。

とりあえず同世代のスピ公に寄り添って考えると、トニーとマリアが歌う“Somewhere”を、リタ・モレノに歌わせたあたりがポイントなのでしょう。かつてのアニタがグリンゴと結婚して、ジェット団が集うドラッグストアの主人となっています。赤狩りで不遇に見舞われたネッド・グラス以上の共感がそこにはありました。

しかし、なのです。その程度で甘い顔をしていると、映画はますます駄目になる。たとえば今回、踊りの切れ味を確認するために、ジェニファー・ロペスの「マリー・ミー」をちょい見したのですが、48インチで見たときはそこそこ楽しめた踊りが、あまりの短いカッティングのため乗れませんでした。もっと小さいスマホならこれでもいいのか?

あるいは新作で“クール”の画面作り、あれはなんじゃ? ランブルの後、ジェット団がガレージに入り頭を冷やす、あのアクチュアリティが皆無じゃないか。←ついでに言えば、あのガレージの天井は「市民ケーン」でオーソン・ウェルズがやった手法ですね。同作の編集を手掛けたロバート・ワイズならではだと僕は思います。それは冒頭のビル破壊シーンに、市川崑の「東京オリンピック」を持ち込んだスピ公とは違うんです。

ということで、僕は結局すべての結論を出してから編集していますから、スピ公に対する一方的な批判となりました。しかしそれは、阪神タイガースの2023年の勝ち試合だけを編集する行為と同質です。だからある一部のマニアが、好きなようにほざいているという認識で結構。それに対して僕は、“それでも地球は回る”と言ってやります。

写真1がジェット団(リフはトニーのところへ向かってます)10人、
左列の前から
アクション トニー・モーデント
ベビー・ジョン エリオット・フェルド
マウスピース ハーベイ・エヴァンス
真ん中列
スノーボーイ バート・マイケルズ
ジータール トミー・アボット
タイガー ディーン・ビーン
右列
Aラブ デビッド・ウィンタース
ジョイ・ボーイ ロバート・バナス
アイス タッカー・スミス
ビッグ・ディール スクーター・ティーグ
だと思います。間違いがあればご教授を。

そして写真2は、左がグラシェラのジーナ・トリコニス、右がヴェルマのキャロル・ダンドレア。写真3は、ジェローム・ロビンスのアシスタントも務めていたジータールのトミー・アボット3様です。
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