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2023年05月10日18:12

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一冊目のノート終了(二コマコス倫理学)

『メタピュシカ(形而上学)』を早く読み終わり過ぎて、ボケ開始までに隙間ができた。そこで古典ギリシャ語で読む『エーティコーン・ニコマケイオーン(二コマコス倫理学)』(アリストテレス)を開始したが、一冊目の大学ノートが終了した。2か月と20日かかった。スタートでダレていたのと、いろいろ忙しいことが重なったからだ。

若い頃から道徳だの倫理だのは押しつけがましくていやだと言っていた私がなぜ倫理学などに迷い込んでいるのか。それは自分の名を「最高の目的」(アリストテレス)と名乗った哲学者が「人生の最高の目的は何か」と問い、「それはエウダイモニア(幸福)である」と答えたからだ。それは誰もが知っていると彼は書いている。ただ、行きついたと思える「幸福」が何かという議論になると、人々の考えは百人百様である。だからそれについて考えよう、というのがこの本なのだ。

死ぬとき自分の生涯は幸福だったと思う人間はどのくらいいるのだろうか。私は歳とったせいかかなり多いのではないかと感じている。そうなると、地球上で生まれ死んでいく膨大な人間の数だけ幸せはあることになる。そんなに誰もが知っていることなら本を読んでも仕方ないではないか。あるいはそれぞれ幸せの形も感じ方もみな違うのだとしたら、それも本に書ききれないだろう。そんなこんなで誰も読まない本なのである。

幸せである、ということは能動態でもなく受動態でもない。多分中動態だろう。あるとき自分の中でそれと知るのである。ほかに言葉がないのでとりあえず「幸福」という言葉を使っているだけのこと。学問になれない「真理」なのではないか。しかし「万学の祖」と言われたからには幸福も学として位置づけねばならぬ、と気張っている人がいる。大真面目に「考察」している自称「最高の目的」サン、私はあなたに付き合うよ。大昔のあなたの使った言語で。私に縁遠かった「善」(アガトン)さえ、今は新鮮に響く。幸福は活動(エネルゲイア)の中に住むとするあなたの言葉の前で立ち止まってみよう。死ぬまでにまだ時間が少しありそうだから。



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