『詩人会議』5月号の現代詩時評で立原直人さんがウクライナの小話を紹介している。ご存じの方も多いかもしれないが、私は初めてだった。ご存じない方のために引用しておく。
「私はオーストリア=ハンガリー帝国で生まれ、チェコスロヴァキアの学校に通い、ハンガリーで結婚し、ソ連で働き、ウクライナで余生を送っている。しかし私は一度も自分の村から出たことがない。」
権力の興亡や領土支配の変更により、同じ土地の名がこのようにさまざまに変化したということは驚くべきことだし、常にそうした事態にさらされてきた地域の不幸を思う。同時にそうした曲折の中をなお自分の生きた土地で生涯を終えようとしている人が存在していることに改めて気付かされ感動する。
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