mixiユーザー(id:6354345)

2021年05月29日06:50

50 view

風林火山伝 第44話 義昭と光秀の再会

明智光秀は足利義昭に「公方様に再びお目にかかれて嬉しく思います。先日の公方様の偽の首を見たときには嘆き悲しみました。あらためて安堵の胸をなでおろす次第でございます。ところで、信玄が小谷城に入城し、長政とともに公方様の小谷城入城を待ちわびております。」と言った。

それに対して義昭は「お主は信長を見限り、信玄の家臣になったと聞いておる。正しい選択をしたのう。わしも信長はひどく嫌っておる。ところで、一つききたいが、お主が信長にわしの偽の首を見せたときどんな感じであった。」

「信長は公方様の偽首を見せたとたん、これは公方様の首にあらず、今川義元の首だといきなり叫びあげました。拙者には公方様の偽首にしかみえませんでしたが。信長はなんかの霊に取りつかれた様子でした。そして、信長はへし切でかなりの勢いで公方様の偽首をたたき切ったのでございます。そして首にへし切が衝突した瞬間、火花が散り、その首はものすごい勢いで燃え上がり、すぐさま岐阜城の天守が燃え上がったのでございます。その後、拙者はしばらく金縛りにあい、金縛りが解けたときに信長の姿はありませんでした。」と光秀が答えた。

「その通り、わしの偽首の表面は蝋が塗られており、その首の中には道三製の油がはいっていたのだ。お主を騙し、信長を討ち取る計画であった。お主を騙して悪かったが、
信長を亡きものにできなかったのが非常に心残りである。しかしながら岐阜城を落としたのはお主とわしの手柄であることはよく覚えておけ。それにしても、信長が義元の名を叫んだことは気がかりであるな。」

「あの後、拙者は、信長を亡きものにしようとしましたが、残念ながら信長を伊勢長島へ逃がしてしまったことには面目ございません。あと、今から思うと、岐阜城には義元の亡霊の気配があったことを感じております。ところで、いつ公方様は小谷城へ出陣されるのでございますが?」

「信玄のこたびの上洛の目的は、憎き信長を討つことである。しかしながら信長はいまだ生きており、伊勢長島で勢力を盛り返ししつつある。せっかく、わしが信玄に信長討伐の助け舟をだし、岐阜城を炎上させたのに、いまだ信長を亡きものにできないことがわしは満足がいかぬ。信長を倒す前にわしとともに上洛し、室町幕府の権威を示すことは論外である。」義昭と光秀に答えた。

「私に良い考えがございます。公方様自ら小谷城に出陣され、信玄、長政に改めて
信長討伐の号令をかけてはいかがにごさいますか?近江の小谷城を本拠地として、信長に決戦を挑むのでございます。」

「それでは京はわしがおらず、もぬけの殻になるではないか? やはり、わしは京の二条御所に残り、そこから信長討伐指揮を行う。さらに、信長より、信玄との和議の申し出があった。信長にはじきじき、わしに頭を下げ、京にくれば合意する条件をだした。わしは和睦に応じるふりをして、本能寺にて信長との和睦の交渉をするつもりである。もし、信長が和睦に応じ、本能寺にきたら、その時に信長を討ちとってくれないか?」と光秀に頼んだ。

光秀は「もし、信長が本能寺での和睦に応じた際には拙者が喜んで討ち取って御覧に入れますと答えた。」


                                   つづく




4 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年05月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031