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2021年01月15日17:48

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役立たず―12冊目ノート終了

原語で読むア翁『メタピュシカ(形而上学)』の大学ノートが12冊目を終了した。
ちょうど2か月かかった。年末年始で2周間ほど自主休業していたのでこんなものだろう。

一冊終わったら何かを書くことにしているので一言(といってもたいてい長い)。

私の古典ギリシャ語はほぼ独学である。大学時代に若い講師の先生がカリキュラムにないギリシャ語のゼミをしてくれると言うので数回行ったが、当時ギリシャ哲学には全く興味がなかったこともあり2〜3回行ってすぐ撤収した。哲学科といっても私の学年は4人しかおらず、全学年でも20人もいない閑散とした地帯だったので、参加者も減る中、ほどなくゼミもなくなってしまった。学生運動が盛んな時代だった。

そんなわけでこの歳になってギリシャ語の哲学書を毎日読むことになるとは想像だにしなかった。十年以上ひとりでコツコツと読んでいると、仲間がいれば楽しいだろうなと思うこともある。しかし今日ギリシャ語で読みたいものといえば哲学とホメロスくらいなもので、私の友人たちを誘うには敷居が高すぎる(聖書は私がダメである)。だから死ぬまでの間に仲間ができたら、などと夢見ることもない。今になって、学生時代にギリシャ語を教えてくれると言った若い講師の先生はどんな気持ちだったろうと思うことがある。決められた時間に、その教室に行っても誰一人いないのだ。

今の私はどうであろうか。ごちゃごちゃした寝室兼書斎で本を開けばア翁が私に話しかけてくるのでとても幸せである。一緒に考えよう、と。

若い頃、私は詩を書くためには哲学を学ばなくてはならないと思っていた。つまり哲学は詩のために役立つものだと。しかしそれは間違いだった。詩も哲学も何かの役に立つものではない。両方とも世界をみつめ、考えるだけのことである。詩のせいにしてきたが、本当はもともと哲学が好きだったのだろう。正解などないので、何を考えてもいいし、無駄に時間をすごしてもいい。学校や社会では「役に立つ」人間のフリをして生きてきたが、もうそんな演技も必要ない。私に残された残り少ない時間を充実して無駄に過ごすのだ。それには詩と哲学と今や世界中で誰も話さない死語が一番だ。

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