mixiユーザー(id:6327611)

2019年10月30日04:38

735 view

近年魅力を感じなくなっていた女優が主役ですが、とても気持ちよく見終わりました。ウォシュ・ウエストモアランド監督「コレット」(2018)。

「恋の手ほどき」の原作者であり、その舞台における主役にオードリー・ヘプバーンを抜擢したらしいコレット女史を描いたコスチューム・プレイです。物語の背景は1893年からスタートする。コレットが二十歳の時ですね。それをキーラ・ナイトレイが演じますが、撮影時は32歳ですよ。「ベッカムに恋して」の直後ぐらいに撮影しておけよ(17歳でしたね)。

求婚するウィリー(ドミニク・ウエスト)が小説家なのですが、実はゴーストライターに書かせて添削し、自分の名前で出版しています。で、コレットに彼女の学生時代を書かせ、“今風の言葉づかいと内容にしろ”と命じます。これが僕にはツボでした。つまりこの映画はコスチューム・プレイなのですが、同性愛やジェンダー問題を今風に扱っているわけです。その手法が、当時のコレットの作品とダブる(と言いつつ読んでないけど)“手品”だったという構造です。

そもそもキーラ・ナイトレイについては、脚光を浴びて数年は注目していましたが、最近は“キライニ・ナットレイ”と命名するほど。そんな女優の映画をなぜ見たのかというと、たまたまスターチャンネルで放送したからです。知らん監督(ウォシュ・ウエストモアランドって、何を洗うねん?)でimdbの得点が6.7ですから、以前ならパスしていました。

でも昨今はサクラ投票で得点を上げる輩が多いのですが、この作品の得票数はわりあい正常分布曲線に近い。ということで“値段のうち”というケチ根性から録画し、2時間半近い作品が目白押しの中111分と手ごろだったので見始めたら、先ほど書いたようにツボにはまったわけです。えり好みする前に、30分は見ましょうね(自らへの反省の言葉です)。

フランスの物語を英語で、しかもブダペストにロケして作っているようですが、そのあたりまるで気にならないところもいい。つまり、シネスコサイズの画面でスケール感をもって進行し、大時代的な背景でいまどきのジェンダー論議を展開する、そのミスマッチな感じが新鮮でした。←当時のフランスでは、同性愛は許されていたけど(18世紀末から)女性がパンツ姿で出歩くのは違法だったそうな。

コレットのパートナーとなる女性が、ロシア皇帝の血をひく人物なので男装が許されているとか、そんな雰囲気がすんなり納得する展開でした。コレットの亭主ウィリーが、コレットが気にかけた女性と寝てしまうという、さもしい“男気”があわれだし。いろいろうまく作っている気がします。

てなわけで、この映画さえ見ればコレット女史の作品は読まなくてもよさそう。まるでリーダース・ダイジェストみたいな(って読んでないけど)興味深い作品でした。この手を使って、50年前の学生生活をアレンジした映画も作れそうな気がするわけです。誰か作りませんか? 手伝いますよ。写真2の後方が、僕好みのコレットの恋人を演じたエレノア・トムリンソン。写真3がウォシュ・ウエストモアランド監督です。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2019年10月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031