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2024年05月19日06:00

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検閲制度(ヘイズ・コード)における言い回しなどを“楽しみ”ました。プレイク・エドワーズ監督「ティファニーで朝食を」で英語のお勉強。

またしても「ティファニーで朝食を」を見直しました。今回は英語のお勉強です。何回も書きましたがトルーマン・カポーティの原作小説は、東71丁目に住む高級コールガールのホリーが主役です。映画も同じですが、ヘイス・コードというものがあって、その内容描写はかなり制限されたらしい。って、僕は小説を原語で読んでも分からない。

まずホリーが上の階に住む日本人写真家ユニヨシ(ミッキー・ルーニー)に、何度も怒られます。玄関のドアを解錠させるために深夜でもインターホンで起こすから。ユニヨシという名前は日本人にあまりないと思うのですが、実際にカポーティの知り合いに国吉という人がいたようです。いちおう日本人名にもボカシを入れたのでしょうね。

ユニヨシさんは、I got to get my rest! I’m an artist! I going to call vice squad on you!と言います。vice squadは風俗取り締まり班だから、ホリーの職業をしっかり知っているようです。それと後半に、ポール(ジョージ・ペパード)を囲っている2E(パトリシア・ニール)が、ポールから別れ話を切り出す場面で、
>Well... I do believe love has found Andy hardy. 誰かがあなたの純情をつかんだのね
と言ってました。“Andy hardy”はミッキー・ルーニーとジュディ・ガーランドのヒット・シリーズですね。

そしてホリーは、猫を“キャット”と呼びます。さらにpoor slobs(汚いから触りたくない)と形容する。言い方には愛情が込められているけれど、かなりシニカルです。

ホリーは毎木曜日にシンシン刑務所を訪れ、キラートマトというマフィアのボスと面会します。キラートマトはホリーのファンだという。もちろんこれは、ボスと顧問弁護士の暗号通信(天気予報ですが)です。

10セントショップ(現在の100均ですな)で万引きをしたことは?とホリーが聞くと、ポールは、
>No. I’m the sensitive, bookish type. Did you? ないね 気取り屋なんだ 君は?
と言います。←耳学問だけ、みたいな感じでしょうか。

後でホリーは、
>I don’t blame you. I’ve always thrown out such a jazzy line その気持はわかるわ 野暮なセリフね
と言います。つまり−ishとか−yと形容詞形にして、マイルドに表現しているようです。

そもそもホリーは、“パウダールームへ行くだけで50ドルのチップをもらう”女性です。この“パウダールーム”が、当初の脚本では具体的に便所(英語は不明)だったところを、ヘプバーンが変えてくれと要求したらしい。「サイコ」でジャネット・リーの下着の色を白にしろと命じた検閲側に対し、ヘプバーンは先手を打ったのでしょう。

それと先生は我々とは逆に、パーティー会場で日本人がなにか言ってたねと言ってました。カメラが客たちを捉えるシーンで日本人女性が映り、“ねえ 外国人のパーティーって本当に面白いねぇ”とつぶやくのでした。DVDの英語字幕から割愛されていたから気になったんでしょうね。

それと、ホリーの兄は190センチ(正確には188センチ)の大男だそうで、その理由は“the peanut butter that did it.”だぞうです。つまりエルヴィスの母親がハイカロリーのサンドイッチを食べさせていたハナシとダブります。ピーナツバター、バナナ、それにベーコンを加えた“エルヴィス・サンド”ですね。駒場東大前の店で、まだ出してるかな?

詳しく見ると、検閲制度の向こうに“現実”が見えてくるものですね(笑)。なおホリーのアパート(つまりユニヨシとポールの、でもある)は、171 east 71th street(東71丁目171番地)の隣でした。きっと169です(写真3)。そして連行された警察19分署は、その3ブロック南でした。署内はハリウッドのセット撮影だけど、ほんとにあるんですね(笑)。
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