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2019年10月12日03:26

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このB級西部劇が、日本で公開されるまで7年かかったということは、記憶しておく意味があると思う。バッド・ベティカー監督「最後の酋長」(1953)。

ロック・ハドソン主演の西部劇です。今ではロック・ハドソンというと、エイズであることを公表した最初の有名人ということで知られていますが、僕が子供のころは「ジャイアンツ」の主人公として有名でした。その前の西部劇についてはあんまり知りません。リバイバルで見た「ウィンチェスター銃73」では先住民役で少し出ていたなという程度。

今までの日記を検索しても、「ジャイアンツ」と「ガン・ファイター」について何回か書いたくらいで、ドリス・デイとのロマンチック・コメディーあたりはパスしています。この「最後の酋長」は、「ジャイアンツ」に抜擢される前にユニバーサルで量産していたプログラム・ピクチャーのひとつという感じです。

とはいえバッド・ベティカー監督は、メキシコで闘牛士をしていたという異色の監督さんで、「血と砂」のアドバイザーをへて監督となったようです。先輩たちの間では、ちょっと毛色の変わった西部劇を作る監督と受け止められていた気がします。まず名前が覚えにくい。1950年代には、元のスペルを想起させるようなカタカナ表記が一般的でしたから、バッド・ボエティチャーとか記されていた気がする。

今回もポイントは、原題である先住民セミノールが話の中心だということ。フロリダの沼沢地に住み、居留地への移住に反抗する族長オセオラをアンソニー・クインが演じています。ロック・ハドソンとは士官学校の仲間だったという設定。で、ハドソン扮するランス少尉は、セミノール族に詳しいし敵対心もありません。

でも上官のディーガン少佐(リチャード・カールソン)は、自身の軍歴を輝かしくすることに腐心していて、先住民が反抗すれば皆殺しもやむなしと考えています。時の大統領はアンドリュー・ジャクソンで、初の独立13州以外からの大統領だそうですね。だから少佐がジャクソンの肖像画ではなく初代大統領のワシントンの肖像画を部屋に飾ってあるあたり、分かる人には分かるポイントとなっているようです。

こんなB級西部劇ですが、押さえるべきポイントは押さえているわけで、だから1953年に作ってすぐ日本へということにはならなかったのでしょう。アメリカン・ウェイを掲げた進駐軍のイメージが揺らぐかもしれない(と進駐軍が考えたかどうかは知りませんけどね)。

そんなトリビアが先輩たちの好奇心をくすぐり、ボエティチャー(ベティカー)監督に注目したのでしょう。プログラム・ピクチャーであっても、こういう視点をおさえているあたり、やはり侮れません。だからハンガリー出身のアンドレ・ド・トスだとかの映画は、軽く見ていたら足元をすくわれる気がします。

意固地な少佐が重用する軍曹がリー・マーヴィンでした。「七人の無頼漢」でも、単なる悪役ではない役で味を見せていましたね。ベティカーのお気に入りかも。←と思ったけど、この2本しかないみたい。たまたま僕が両方見たというだけでした。そしてセミノール族の中では血気盛んな武闘派を演じるのがヒュー・オブライエンでした。顔を塗りたくってるから分かりゃしない。

ヒロインはバーバラ・ヘイルのみ。ハドソンとクインの2人を相手にします。って、そっちの話が主眼じゃないから、気になりません。「ペリー・メイスン」でレイモンド・バーのお相手だった女優さんですな。それ以外に覚えるべき作品があるのかどうか。彼女が先住民との交易所を経営していて、年寄りの先住民女性と暮らしています。こういう人々の素描が、ドラマに雰囲気をもたらすものだという部分は楽しい。

ということで、量産された西部劇のひとつですが、きちんと作られてい好ましいと思いました。こういう作品が見られるから、CSは重要です。DVDレンタルだと、まず手を伸ばしませんからね。
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