マイミクの綾華☆☆様のコミュニティにおけるリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』に更新がありましたのでお知らせいたします。
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「ZERO Another BALLAD」
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EXリレーエピソード『から騒ぎの感謝祭』
MF
take-23
February 2nd AM10んなは0
「偽業者の件、市民だよりに載せておきました」
「ご苦労」
答えたまま窓の外を見ている星宮市長の背に筆頭書記は言葉を継いだ。
「よろしいのですか? 連中をのさばらせておいて」
「君も正体の目星くらいはついているのだろう?」
「目星もなにも、前に会ったことがありますから」
答えつつも顔をしかめる筆頭書記。なにしろかの「史上最低の侵略」事件の一方の元凶にして旧湾岸通地区全体をゴミの山脈となさしめた張本人でありながら、復興作業に日当が出ると聞けば臆面もなく受付の筆頭書記の前に現れ、あまつさえ日払いならばできるだけゆっくり働くとまでほざいたのだから、たとえ釈迦や菩薩であろうと渋面になるのも無理からぬ話だった。だがそんな部下に背を向けたまま、黒の賢者にも例うべき異星出身の市長は言葉を続けた。
「この星には君子危うきに近寄らずという諺もあるが、彼らならいずれちょっとした穴にでも落ちるのが関の山ではないかね? しかもあれだけの逃げ足だ。それほどひどい目にも遭いはしないだろう。そんなことより」
その時になってやっと、筆頭書記もまた市長のまなざしの先にあるものへと注意が向いた。
「こちらの方がよほど面白そうだ。そう思わないかね南雲君」
異星人たちの超感覚が捕捉したのは、こちらに向けられている敵意に満ちた視線だった。それを辿ると主の姿が映じた。一人は門柱の陰に、一人は渡った道路の角にあるタバコ屋の横にいた。そして向かい側の喫茶店で誰よりも激しい敵意をむき出している男こそ、井上をライバル視するフリーランスのアナウンサー織田幸村その人だった。
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February 2nd AM11:00
「今日も稼げてますねボース様!」
「台所用品もけっこう集まったし」
「お金も思ったより稼げてるしぃ」
「よぉっし晩メシはスシパワーだ」
「大賛成〜〜〜〜いっ!!!!!」
毎度おなじみというべきこの低次元な会話を交わす五人組こそ誰あろう、もとはといえば銀河の彼方から地球侵略の尖兵として送り込まれた身でありながら、どこで道を誤ったのか廃品回収の偽業者として欠けた食器や錆びた調理具がてんこ盛りの大八車を押し立てるポンポス星人たちに他ならない!
なにしろこの数日間、彼らは地球に降りたって以来初の勝利の美酒に酔っていたのだ。幾度もの失敗を経てどうすれば首尾よくブツとカネをせしめられるかを空き腹と戦いつつ議論した結果、彼らは役割分担と連携技を生命線とする必勝パターンを編み出していた。一人暮らしの家を狙ったメースとミースが甘言で相手を誘い出し、ブツを残らず大八車に積むやドースがそろばん片手に法外な請求。話が違うと相手が騒げばオースとボースが前に出て威圧という寸法で、おかげで連戦連勝だった。だがブツやカネを取られた相手から市に苦情がいく可能性に丸っきり頭が回らない時点でしょせん付け焼き刃、あげく彼らは欲目にかられ、丸太屋という大穴へ突き進んだのだ。
「ぎょうさん引き取ってくれるんやなぁ」
相好を崩す恵美子の横に、無表情で立ち尽くす両手がハサミの怪人こそ第二の懐刀たるバルタン星人である。揉み手で応対するメースとミースの背後でオースが大八車の荷をロープで括ると、そろばん片手のドースも笑顔で告げる。
「〆て5678円でっす」
だが五人の誰ひとり、相手の剣呑さに全く気づけないのが運のツキ。
「冗談キツイで。市の委託業者が代金せしめるはずないやん」
「これ見てください。有料って書いてます」
「ほな読んでみ。これ今朝の市報やで」
偽業者に注意の文言に、虚を突かれたドースが絶句する。
「さてはあんたら、ここらで悪さしてるとかいう悪党か」
「い、いやそんなことは! うちは正規の業者ですよっ」
「有料って書いてるんやから偽やろが」
「ですから有料で正しいんですって!」
「あくまで本物っていい張るんやな?」
「間違いないです。本物の本物ですっ」
「じゃあ代金払うてもらおか」「は?」
目が点になるドースにずいと詰め寄る女傑がのたまう。
「あんたらもビラも本物。けれど市報に正規業者は金をとらんて書いてある。ほなあんたらが代金払う以外あらへんやん」「そ、そんなっ」
焦るドースを慌てて押しのけオースが、ボースが前に出る。
「二人ぽっちでワシらに勝つ気かオバはんっ」
唸る土佐犬もどきを鼻で笑うや指を鳴らす女城主。たちまち分身した宇宙忍者が愚民どもを十重二十重に取り囲む!
かくて彼らは有り金全部と大八車をむしられた上、集めたガラクタと空き腹を抱え敗走した。勝ち鬨とも忠告ともつかぬ女帝の声を背に。
「商売ナメたらあかんでぇ〜〜」
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